天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

諷刺(8/10)

  あのひとは体のどこかに鮟鱇をぶらさげている 梅雨明け近し

                       中川佐和子

*鮟鱇の何(性格?体系?)を比喩に用いたいのかわからない!

 

  数をもてプラカード持ちじぐざぐとゆくを正しき道と思ふや

                       佐佐木信綱

*「正しき道」とは? まことに辛辣な風刺である。

 

  庭隅の陶の狸が雪解けにいちはやく大きふぐりを現す

                       宮田ゑつ子

*春が来たことの分かりやすい諷刺。

 

  液化する日本かどつぷり暑き日の木陰に猫が手足を伸ばす

                        香山静子

  陽炎に女あらはれ人生は思ひ込みなりと微笑みて言ふ

                        葉月 詠

  錆び螺子の分解掃除せよと言はれ時計かわれか咄嗟の迷ひ

                       村山美恵子

  はらからを持たざる子にて緋目高語鮒語といふをわれに囁く

                        稲葉京子

*緋目高語とか鮒語とはどのような言葉なのだろう?

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鮟鱇