天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

諷刺(10/10)

  貴賓席に椅子の多くて椅子のまを通る貴賓が横歩きする

                       中野昭子

*貴賓にふさわしくない情景。

 

  樹のことば聴く少年のものがたりヒトも化石となる日あるべし

                       島津忠夫

*上句と下句の関係がよく分からないが。

 

  駅にむき幕垂れいたり日本初冠婚葬祭専門学校

                       大滝和子

  眼科医のなんと清潔な診察室蠅叩き一本壁に下がれり

                       田中滋子

  全駅のゴミ箱、ハイザラ撤去され・・・・いつの日か来む全駅撤去

                       狩野一男

*ゴミ箱やハイザラが撤去された駅をみるとこうした感想をもつはず。

 

  ロボット化されゆく人が製(つく)りたるロボットが民を支配し殺むる

                       山本 司

*これはまさに現代社会が抱えるであろう深刻な問題。

 

  「ベランダに蛇がいたんだ」「どんな蛇」「蛇革模様の蛇がいたのさ」

                       大森悦子

 

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