天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

身体の部分を詠むー骨(4/4)

  骨くらいせめて綺麗にしておかむ今日は為朝百合がひらきぬ

                       石田比呂志

*上句は情景がわからないので不気味。

 

  音たてて頸骨まはすそのかみの恐竜たちが風きくさまに

                          井辻朱美

  おそらくはつひに視ざらむみづからの骨ありて「涙骨(オス・ラクリマーレ)」

                        塚本邦雄

*涙骨(るいこつ): 頭蓋骨を構成する皮骨性由来の骨。ヒトの涙骨は不正長方形の薄い骨で、左右一対あり、眼窩の側壁の前端部で涙嚢窩の後半部を構成している。(辞典から)

 

  骨をおおう脂肪の白き層重ねわれは石鹸になりやすきひとり

                        佐伯裕子

  骨盤の大き女とすれちがひ思ひなほして大股にゆく

                       前川佐重郎

  骨は意志 骨はイメージ 骨は神(しん) 初の一歩の記憶辿らん

                       玉井慶子

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為朝百合