天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

身体の部分を詠むー乳房(6/6)

 乳房の性格上、性愛に関わる事情を詠んだ作品が目立つ。

 

  ちぎれむばかり大揺れの乳房走りゆく高二女子らの百米競走

                       志垣澄幸

  この春はちぢむ乳房のをかしくもかろき心となりて梅見る

                       日高尭子

  胸をはだけ子を待つときに明らかに乳房は世界を感じていたり

                       早川志織

  一つには癌の組織を潜めつつ両の乳房の均衡保つ

                      松永ミホエ

*日本では、女性の14人に1人が乳癌という、恐ろしい話がある。

                                                                       

  むらさきの葡萄の夢にきみに逢ひ乳房が熱を持つたやうです

                       寺島博子

  子を去らせ乳腫れたればわが妻もかなしき竜となりにけらずや

                       石本隆一

  眉月は山に沈みぬほのかなる乳首の頬に触れくるときに

                       米口 寛

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眉月