天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

旅を詠む(2/6)

  くさまくら旅となりなば山のべに白雲ならぬわれややどらむ

                    後撰集・伊勢

  おぼつかないかになるみの果てならむ行方もしらぬ旅のかなしさ

                  千載集・源 師仲

  旅の世にまた旅寝して草まくら夢のうちにもゆめを見るかな

                    千載集・慈円

  飽かずのみ都にて見し影よりも旅こそ月はあはれなりけれ

                    山家集西行

  かりそめの別れとけふを思へども今やまことの旅にもあるらむ

                   新古今集・俊恵

*6月26日にあげたブログ「別れを詠む(3/10)」参照。

 

  幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく

                      若山牧水

*よく知られた牧水の名歌。

 

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西行山家集