天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鳥のうた(1/12)

 日本文学においては、鳥は花鳥風月として日本の自然美を形成する景物の一つである。

 『万葉集』には、鵜、鶯、鶉、鴨、鴎、烏、雁、雉、鷺、鴫、鷹、千鳥、燕、鶴、鶏、鳰、雲雀、時鳥、都鳥、百舌鳥、山鳥呼子鳥、鷲、鴛鴦などの具体的な鳥の名がみえ、ほかにも水鳥が多い。ただ『古今集』になると、種類も淘汰され、鶯、鶉、鴨、雁、雉、鴫、鶴、千鳥、鳰、時鳥、都鳥、鶏、鴛鴦と古今伝授(こきんでんじゅ)の「三鳥」の稲負鳥(いなおほせどり)、百ち鳥(ももちどり)、呼子鳥に尽くされる。

鳥の語源ははっきりしないが、朝鮮語「たる(鶏)」との説もある。(以上、百科事典より)

 このシリーズでは、具体的な名前ではなく単に鳥として詠まれた作品のみをあげる。それにしても膨大な数がある。

 

  古(いにしへ)に恋ふる鳥かも弓鉉(ゆづる)葉(は)の御井(みゐ)の上より鳴き渡り行く

                   万葉集弓削皇子

*「昔を恋しく思う鳥だろうか、弓絃葉の御井の上を鳴きながら渡ってゆくよ。」

 

  今(こ)の世にし楽しくあらば来(こ)む生(よ)には虫にも鳥にもわれはなりなむ

                   万葉集大伴旅人

  世間(よのなか)を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば

                   万葉集山上憶良

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