金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に
与謝野晶子
さまざまの鳥の標本を舗道(ほどう)より吾は見たれば生ける鳥も居り
佐藤佐太郎
重くゆるく林の中をくだる影鳥はいかなる時に叫ぶや
高安国世
見おろしの空地よぎりて木より木へ見えざる糸をひきて鳥翔ぶ
高安国世
枯草にかじる木の実の透くばかり紫濡れて啄(は)む鳥もなし
植松壽樹
月明にさまよひ歩く少年もわが内に死し夜半の鳥啼く
大野誠夫
*作者の少年期を思い起こしているのだろうか。
動哨(どうせう)をする雨の夜の足元より思ひがけなく鳥飛び立ちぬ
石原清介
*動哨: 移動しながら警戒や見張りをすること。また、その役の哨兵。