天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

力石を詠む(十一) 高島慎助

 岩田書院から出たこの本(画像参照)の帯には「かつて男達が力を競った力石。その力石に想いを込めて詠まれたものである。俳句、短歌、川柳など340作をまとめた。」とある。

 掲載頂いたわが作品(俳句と短歌)は以下のようなものである。各々に関連する力石の写真と注がついているので、尋ね歩いた時のことが思い出されてなつかしい。

     ちる花はとどめがたしも力石

     小春日のふたつ静かな力石

     風薫る銀杏のそばの力石

     西行と蝉のこゑ聞く力石

     小春日の力石見る円位堂

     力石炎暑に汗のとめどなく

  今ははや持ちあぐることかなはざり伏見稲荷のおもかる石は

  腰越に待たされし日日弁慶が身体きたへし手玉石あり

  さりげなく板碑の前に置かれたたる力石あり五所神社にて

  「力多免しの以志」とあるらし文字などは歳月を経て判読できず

  白々と石の鳥居の立つ元に力石二つつやめきてあり

 

[注]『力石を詠む(九)』について、2017-12-12のブログでご紹介しているので、併せてご参照下さい。

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力石を詠むシリーズ(十一)