天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

祖父、祖母を詠む(1/6)

  かたがたの親の親どち祝ふめりこの子の千代を思ひこそやれ

                    後拾遺集藤原保昌

*「父方母方の親の親同士が孫の袴着を祝っているようです。子の子()が輝かしく長生する事を私も心から願っています。」(WEBから)

 

  祖父父母とつぎつぎ()けて伝へたる血に疲れありとつぶやく吾子は

                        五島美代子

  強きものに背負はれ歩む苦しさを曽祖父も祖父も知らで逝きたる

                        佐佐木治綱

  ただ一度われに拳をふるひたる生きてしあらば百歳の祖父よ

                         山本友一

  多感にして若き命を終りたる明治びと祖父はひげ濃かりけり

                         岡野弘彦

  祖父が植ゑし山の古木伐り尽くし父のひと世はおほよそ過ぎぬ

                         岡野弘彦

  病む祖母が寝ぐさき息にささやきし草葉のかげといふは何処ぞ

                         岡野弘彦

  多く無頼に過ぎたる祖父にうけ継ぎし何の徳にか面ざしやせて

                        醍醐志万子

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山の古木