令和三年のわが作品から
令和三年も終りに近づいた。新型コロナ・ウィルスは新しい株が出てきて衰える気配がない。今年のわが俳句短歌作品の中からいくつか挙げておきたい。
俳句十句(「古志」掲載)
宇宙にも初めと終り初茜
道の辺に思ひ出したり杜鵑草
撫で牛を撫でてはならず初詣
歩道橋春の嵐に帽子飛ぶ
飼ひ犬のしつけ手こずる春の芝
月蝕は赤黒かりき望の月
コロナ禍の街に食ひたりうなぎ飯
思ひ出に苦しめらるる酷暑かな
今ははや過疎の故里雪の中
馴染めざる建国記念日富士白し
短歌十首(「短歌人」掲載)
昼日なか寝てばかりゐる老犬を見てはわが身の行方をうれふ
昨夜見し火球は何の前兆(まへぶれ)か一夜明くればわが誕生日
コロナ禍の同窓会はオンライン白髪のめだつ顔をならべて
青ざかな認知症にも効くといふわが好物の焼き鯖の寿司
三十年共に暮らせるアマリリス玄関、居間に株分けの鉢
北極の永久凍土とけはじめ太古のウィルスよみがへるらし
「ショータイム」すなはち大谷翔平の活躍による呼び名となりぬ
練習は社宅の部屋をしめきりて子はバイオリンわれはフルート