天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

年月を詠む(3/3)

  歳月の長さがなかのある時にするどかりき激しかりきまんじゅさげの赤

                       真鍋美恵子

  おもむろに一日(ひとひ)一日が過去となる集積あはれ老の歳月

                       佐藤佐太郎

  孤り聴く<北>てふ言葉としつきの繁みの中に母のごとしも

                        浜田 到

*浜田 到: 大正7年~昭和43年。アメリカのロサンゼルス生まれ。4歳の時に両親の出身地である鹿児島に帰国。思春期の頃、母を病気で亡くした。戦後、鹿児島の済生会病院の内科医として勤務。塚本邦雄や寺山修司らを中心とする同人誌「極」に参加。往診の帰路で事故死、49歳。(webから)

 

  植物のつる揺れやまぬ空暮れて長夜のごとき歳月ありき

                        大野誠

  風よりも静かに過ぎてゆくものを指さすやうに歳月といふ

                        稲葉京子

  歳月はわれをなだめて逆髪(さかがみ)の怒りといふを忘れゆくらし

                        稲葉京子

 

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まんじゅさげ