初穂料百円を捧げ一盃を口にふふみぬ大山の酒
内宮を出でておはらい町をゆく造り酒屋のあれば聞き酒
白秋と夕暮が来て酒飲みし八景原に大根育つ
東京の地酒も売れる陶器市に信楽焼きのぐひ呑みを買ふ
長雨にけだるき身体もてあまし今宵また呑む芋焼酎を
湯の後の汗ををさめむひや酒は地元で造る「うつぷんばらし」
麦酒一本熱燗一合呑みて酔ふ五浦の宿に熟睡したり
「幻の瀧」とふ冷酒ひとり呑む肴はめざし、げそのピリ辛
アドルムと焼酎により不帰の人左手首の傷浅けれど
*アドルム: 催眠鎮静薬。
あたたかき甘酒すする山頂はもみぢ散り敷き年を逝かしむ
よもぎそば甘酒を待つしまらくを池に映れるもみぢ愛でたり
「晩春」とふ古き映画を見つつ酌(く)む芋焼酎は妻の買ひ置き
下山して湯に入る後の贅沢はこんにやく豆腐きやらぶきに酌む
氷片を詰めたグラスに泡盛の古酒をみたせり 牛(ぎう)のしぐれ煮
氷片を詰めしグラスにバーボンを満たして飲めば猛暑日は去る
神前に供へられたる神酒赤飯人に分かつを中入(なかいり)といふ
近年の打撃不振の要因をさまざまに言ふ夜の居酒屋