わが歌集からー鳥類(13/15)
雲雀 2首
河川敷球場に巣を作れるか球児の空に雲雀啼くなり
ボール打つテニスコートの河川敷ひばりは高く空に啼くなり
梟 2首
竹細工梟を売る口上に餌をやるなと人笑はせて
つれあひを亡くしし雄のシロフクロウわが口笛にふり向きにけり
フラミンゴ 2首
余念なきチリフラミンゴの羽づくろひ膝関節の淡きくれなゐ
公園の檻に飼はれて年ふりぬ花に染まれるチリフラミンゴ
隼 2首
鵯の群海面すれすれ飛びゆくを隼襲ふ津軽海峡
都会派の隼高きビルに棲みネオンの陰に鳩を食み裂く
鵙(もず) 2首
縁遠くなるばかりと言ひ墓洗ふ鵙高啼ける鎌倉の谷戸
もてあます時間はあれど仕事なき余生思へば鵙猛り啼く
山雀 2首
晩秋の植林深く分け入れば山雀渡る声のみぞして
山雀が餌箱にくる奥の院もみぢ間近き山の中腹
ヨシゴイ 2首
上空にミサゴ来れば首伸ばし葭の葉と化すヨシゴイ親子
葭の茎掴みてありくヨシゴイの忍者歩きに魚は気付かず
雷鳥 2首
雷鳥を見かけし人に良きことのあるといふ山雪の降り積む
松葉食むオオライチョウの啼く声は針葉樹林を透(とほ)る野太さ
鷲 2首
観客の方を向かざるオオワシは高みにありて山を恋ふらし
鷲の棲む筑波の山にいははしの神を訪ねし 霧ふかき日に
一生を添ひ遂ぐるとふアホウドリ若きは模型(デコイ)に恋を迫るも
助走して飛び立つはよき信天翁蹌踉(よろ)けて着陸するをさびしむ