天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

草いきれ

 夏の強い日ざしをうけて,草むらから立ちのぼる,むっとする熱気のことである。

 

     草いきれ人死居ると札の立          蕪村

     草いきれ鉄材錆びて積まれけり      杉田久女

     草いきれ貨車の落書き走り出す      原子公平

     草いきれ尾さばきもなき馬の後     能村登四郎

     草いきれ膝より低き久女の墓       高橋素水

 

  ししむらのうへ這ひまはる蒸しあつき草いきれに我れも腐り行くごとし

                         前田夕暮

 

草いきれ