天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

真菰

 イネ科の多年草。「まこも刈る」は枕詞で、「淀、大野河原、堀江、伊香保の沼」にかかる。

 

     真菰中杭並びたる船着場         高浜虚子

     舟先に真菰へなへな伏し沈む       後藤夜半

     舟の波真菰を越えて田にはしる      加藤楸邨

     真菰野の暮色が隔つ字二つ        山口草堂

 

  まこも刈る淀の沢水雨降ればつねよりことにまさるわが恋

                     古今集・紀 貫之

  みしまえの入江の真菰雨ふればいとどしをれて刈る人もなし

                    新古今集・源 経信

  湖尻(うみじり)の江の水せばみ舟べりに触れて真菰のずれゆく音す

                         木下利玄

  君をおきてふたたび越ゆる大利根や岸のまこもの黄ばみわたれる

                        五島美代子

 

真菰