天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

下萌(しももえ)

  春早く大地からいろいろな草の芽が萌え出る様である。

 

     下萌の大磐石をもたげたる     高浜虚子

     貨車降りて下萌を踏む曲馬の象   橋詰沙尋

     草萌ゆる廃線レールなほ存し    藤田雅子

     草萌や機関車つけて全両鳴る    原 輝生

     下萌の射撃場火を噴きつづく    原口天拝

     荒れまさる陪(ばい)塚(ちょう)に萌えいづるもの

                      橋本文子

     草萌に石舞台石ばかりなる     唐沢富貴子

     捨タイヤその輪の中の草萌ゆる   尾崎群雀

 

  春の野の下萌草の浅みどり危くぞおもふ生ひ立つ子等を

                     若山喜志子

 

下萌