天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋草

 「万葉集」の山上憶良秋の七草以外の山野の草も含む。

 

     秋の草まったく濡れぬ山の雨     飯田蛇笏

     秋草一茎少しもつれて轍の中    中村草田男

     窯出しの日は秋草も輝かむ     鈴木真砂女

     秋草のみだれに人をかばひつつ    中村汀女

     秋草の辺に何思ふかがまりて    志摩芳次郎

     秋草とわれとのみなり風の中    成瀬桜桃子

 

  (かむ)さぶと不許(いな)ぶにはあらね秋草の結びし紐を解くは悲しも

                 万葉集・石川賀係女郎

  とりどりに色あはれなる秋草の花をゆすりて風ふきわたる

                      伊藤左千夫

  いたつきの癒ゆる日知らにさ庭べに秋草花の種を蒔かしむ

                       正岡子規

  吾木香(われもかう)すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ

                       若山牧水

  うゑまぜてしをりよろしき秋ぐさの花のさかりを見て遊ぶなり

                       北原白秋

  汗の体拭かせてをりぬ巷には秋草の花すでに売るらむ

                       金石淳彦

 

秋草