天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

歌まくらー西行の場合(2/7)

[足柄山]神奈川と静岡の県境にある金時山の北に連なる山。坂田金時の伝説。

  雪解くる茂(し)みみに拉(しだ)くかざさきの道行きにくき足柄の山

 *茂(し)みみに拉(しだ)く: 強く踏みしめる。  かざさきの: 風先の

[風越]長野県飯田市の西方にある山(風越山)を指す。

  かざこしの嶺のつづきに咲く花はいつ盛ともなくや散るらむ

[諏訪の湖]長野県諏訪盆地の北部にあり、厳冬期にできる「御渡し」が有名。

  春をまつ諏訪の渡もある物をいつを限りにすべきつららぞ

[浮島が原]静岡県田子の浦の砂浜に沿う低湿地。

  いつとなき思ひは富士の煙にて起き伏す床や浮島が原

伊良湖(崎)]愛知県渥美半島先端の岬。

  伊良湖崎鰹釣り舟並び浮きてはがちの波に浮かびつつぞ寄る

 *はがちの波: 西北の風で起こる波をいう。

 

浮島が原