歌まくらー西行の場合(6/7)
高砂の尾上を行けど人もあはず山(やま)郭公(ほととぎす)里なれにけり
ながれやらでつたの入江にまく水は舟をぞもやふ五月雨の比(ころ)
淡路島瀬戸の潮干の夕暮に須磨よりかよふ千鳥啼くなり
[勝間田の池]奈良市六条町にある俗称大池。
水なしと聞きてふりにし勝間田の池改むる五月雨のころ
[桜井]奈良盆地南東部の桜井市のあたり。別に大阪府三島郡島本町桜井も。
こ芹つむ沢のこほりのひまたえて春めきそむる桜井の里
[朝妻]奈良県御所市大字朝妻の地。
暮れ舟よ朝妻わたり今朝なせそ伊吹の嶽に雪し巻くめり
*くれ舟:山出しの木材を積んで運ぶ舟。朝妻わたり:朝妻港を起点にして
他の港に舟で渡るということ。 今朝なせそ:今朝は寄港したらダメですの意。