天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

歌人を詠むー西行(2/2)

以下はわが(天野 翔 本名・秋田興一郎)作品

 

  夏木立西行庵は小さかりき座禅組みたる木像ひとつ

 

  チェーンソーの音の湧きくる杉木立西行庵を間近くにして

 

  西行のたどりし道はいかなるや峰を見上ぐるこでまりの花

 

  西行が庵かまへし場所なべて表を避くる裏山の陰

 

  西行は視線を遠く置きにけむ老いて厭はぬみちのくの旅

 

  せはしなく街道ゆける人の世に笠をあみだの不二見西行 

 

  潮風に吹かれふかれて痩せにけり西行法師笠懸けの松

 

  尋ね来て車を停むる茶屋の跡道の辺に見る西行の歌碑

 

  西行がたどりし道の両側に茶畑を見る小夜の中山

 

  西行の足腰に及ばざりしかば足跡を追ふ電車、タクシー

 

  梅雨に入る桜青葉の山蔭のまろき墳墓に西行を訪ふ

 

  西行と別れてバスを待ちをりし金剛バスの終点「河内」

 

吉野の西行