天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

歌集『夜のあすなろ』(2/6)

オノマトペ

  はらほろり風船かづらしら花にほらふりはらり七月の雨

  ぴしぴしと目高はひかりくぐりをりすいれん鉢に七月の雨

  情(じやう)ふかき女のごとし夜(よ)はふけてしんしん雪が降るふりつもる

  かすていらほろろほぐるる春の日やわが手のひらに雀子よ来(こ)よ

  さかさかとふれあふおとを確かめて地這胡瓜の種を買ひたり

  ばつさばつさ伐りおとしたる枇杷の枝うちかさなりし六月の庭

  車椅子ぐぐいと漕げば病棟の廊下にこころいささか弾む

  剥がれさうな大きな月がのぼりをり幼子ついと頭(かうべ)をまはす

  モカマタリ呪文のやうに唱へたりドクダミ十字ぽつてり白い

  あうあうと鴉さわげる午後にして樹木葬などわがおもひをり

  ふるるるる電波時計の針ふるへうごきはじめて家よみがへる

  わらわらと鉢の底より湧きあがり目高ら生きておよぐ 嬉しも

 

目高

[注]このブログに載せた画像は歌集には無く、WEB上のものを筆者が参考までに添付した。