天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

知覚を詠むー光・闇(3/3)

  風のおと響きたつとき閃くと思ひて冬の光浴びゐる

                      鈴木幸輔

  行きまがふけだものとわれひかりもち樹下の雪に青く灯りつ

                     前 登志夫

  噴水が輝きながら立ちあがる見よ天を指す光の束を

                     佐佐木幸綱

  竹は内部に純白の闇育て来ていま鳴れりその一つ一つの闇が

                     佐佐木幸綱

  メスのもとひらかれてゆく過去がありわが胎児らは闇に蹴り合ふ

                     中城ふみ子

  わが眼の底に咲く紫陽花を診たる医師暗室を出ていづこの闇へ

                      塚本邦雄

  人がたをなして或る時訪ねくる思想あり初夏の闇より深く

                     馬場あき子

 

噴水