天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

知覚を詠むー暑さ・寒さ(1/3)

  ひとへなる蝉の羽衣夏はなほうすしといへどあつくぞ有りける

                  後拾遺集・能因

  水の音に暑さ忘るるまとゐかな梢の蝉の声もまぎれて

                   山家集西行

  涼しくも衣手かろし御祓(みそぎ)川あつけはらひてかへるさの森

                     藤原為忠

*あつけ: 暑気

 

  行きなやむ牛の歩みに立つ塵の風さへあつき夏の小車

                 玉葉集・藤原定家

  うち沈む黒き微塵(みぢん)の照りにして暑(しよ)は果てしなし金の

  向日葵(ひまはり)           北原白秋

   

  やや暑き山の日ざかりの心よく大き西瓜をわりにけるかも

                     古泉千樫

 

西瓜