霜の上にけさ降る雪の寒ければかさねて人をつらしとぞ思ふ
新古今集・源 重之
明けぬるか衣手さむしすがはらや伏見のさとの秋のはつ風
新古今集・藤原家隆
春といへどまだ寒むからし茨(ばら)の葉に面(かほ)寄する馬の太く嚏(はなひ)る
北原白秋
川水の寒けくもあるか夕づく日たださすところたてるさざなみ
岡 麓
うつし身はかなしきかなや篁の寒きひかりを見むとし思ふ
斎藤茂吉
夜寒く帰りて来ればわが妻ら明日焚かむ米の石ひろひ居り
古泉千樫
寒ざむと日のさす道につつましくしゃがみて売れり福寿草の株
鹿児島寿蔵