天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

知覚を詠むー暑さ・寒さ(3/3)

  霜の上にけさ降る雪の寒ければかさねて人をつらしとぞ思ふ

                新古今集・源 重之

  明けぬるか衣手さむしすがはらや伏見のさとの秋のはつ風

                新古今集藤原家隆

  春といへどまだ寒むからし茨(ばら)の葉に面(かほ)寄する馬の太く嚏(はなひ)る

                     北原白秋

  川水の寒けくもあるか夕づく日たださすところたてるさざなみ

                      岡 麓

  うつし身はかなしきかなや篁の寒きひかりを見むとし思ふ

                     斎藤茂吉

  夜寒く帰りて来ればわが妻ら明日焚かむ米の石ひろひ居り

                     古泉千樫

  寒ざむと日のさす道につつましくしゃがみて売れり福寿草の株

                    鹿児島寿蔵

 

福寿草