天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

知覚を詠むー痛み(1/2)

 「痛み」とは、生理的にも心理的も外部から強い刺激を受けた時の苦しみをいう。「いたまし」は、我が身と比べ相手をかわいそうに思う意。(辞典による)

 

  丹生(にふ)の河瀬は渡らずてゆくゆくと恋(こひ)痛きわが背(せ)いで

  通(かよ)ひ来(こ)ね        万葉集・長皇子

              

  時はしも何時(いつ)もあらむを情(こころ)いたく去(い)にし吾妹(わぎも)か

  若子(みどりご)を置きて    万葉集大伴家持

                

  秋といへば心ぞ痛きうたて異(け)に花になそへて見まく欲(ほ)りかも

                 万葉集大伴家持

  われもかなし草木も心いたむらし秋風ふれて露くだる比

                  玉葉集・伏見院

  蟷螂が蜂を食ひをるいたましさはじめて見たり佐賀の山べに

                     斎藤茂吉

 

蟷螂