「痛み」とは、生理的にも心理的も外部から強い刺激を受けた時の苦しみをいう。「いたまし」は、我が身と比べ相手をかわいそうに思う意。(辞典による)
丹生(にふ)の河瀬は渡らずてゆくゆくと恋(こひ)痛きわが背(せ)いで
通(かよ)ひ来(こ)ね 万葉集・長皇子
時はしも何時(いつ)もあらむを情(こころ)いたく去(い)にし吾妹(わぎも)か
若子(みどりご)を置きて 万葉集・大伴家持
秋といへば心ぞ痛きうたて異(け)に花になそへて見まく欲(ほ)りかも
万葉集・大伴家持
われもかなし草木も心いたむらし秋風ふれて露くだる比
玉葉集・伏見院
蟷螂が蜂を食ひをるいたましさはじめて見たり佐賀の山べに
斎藤茂吉