天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

わが句集・平成四年「獅子頭」

     牡丹園傘さしたるが獅子頭

     碧き目の流鏑馬の射手疾駆せり

     水位計赤く点滅梅雨の川

     夏の木の命の音よ聴診器

     週末の畑仕事の西瓜冷ゆ

     舎利殿は座禅道場蝉時雨

     初物の梨むく皮の長からず

     骨董の競りの声飛び蓮の実飛ぶ

     指さすを見れば瓢箪青きかな

     虫すだく夜道の二人言葉なし

     焼き餅をぶちたたかつしやい囲炉裏端

     酒買ひて夕陽浴びれば百舌鳥の声

     山覆ふ雪あり山の力こぶ

     病室のベッドかたづき冷まじき

 

獅子頭