天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

わが句集・令和元年「からす瓜」

       はるかなる夕陽手前のからす瓜

       ひさかきのはるか上なる銀杏かな

       蜘蛛の囲の主人おどろく落葉かな

       ささがにのねむりをさます落葉かな 

       あらたまの元号待つやあきつ島

       自転車をおほかた隠す花八つ手

       鉄砲宿さくら並木の東海道

       窓外に干し柿を見る湯宿かな

       銭洗ふ妻を見てをり初詣

       梅まつり梯子にあるく小猿かな         

       たらの芽をてんぷらにしてラム酒かな      

       春きたる大島航路の白き船           

       老人と老犬がくる夕桜     

       新元号「令和」ことほぐ花見酒  

       流れくる雲にさそはれ桜散る 

       唐土仲麻呂しのぶ望の月

       窓に入る日差しに咲けりアマリリス 

       紫陽花のなだるる先に由比ヶ浜

       何事か帽子に蝉のぶつかり来 

       墓じまひ決断迫る蝉のこゑ 

       墓じまひよりはこのまま雪の墓地

 

からす瓜