はるかなる夕陽手前のからす瓜
ひさかきのはるか上なる銀杏かな
蜘蛛の囲の主人おどろく落葉かな
ささがにのねむりをさます落葉かな
あらたまの元号待つやあきつ島
自転車をおほかた隠す花八つ手
鉄砲宿さくら並木の東海道
窓外に干し柿を見る湯宿かな
銭洗ふ妻を見てをり初詣
梅まつり梯子にあるく小猿かな
たらの芽をてんぷらにしてラム酒かな
春きたる大島航路の白き船
老人と老犬がくる夕桜
新元号「令和」ことほぐ花見酒
流れくる雲にさそはれ桜散る
窓に入る日差しに咲けりアマリリス
紫陽花のなだるる先に由比ヶ浜
何事か帽子に蝉のぶつかり来
墓じまひ決断迫る蝉のこゑ
墓じまひよりはこのまま雪の墓地