天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

湯河原梅園

梅の花と航跡

 今年はまだ満足のゆく梅の満開に出会えない。今日は湯河原梅園にゆく。湯河原駅の幕山公園行きバス停には探梅の客が列をなしている。
 新崎川は短い川である。幕山の奥には小さいダムがあるらしい。辰沢、なばたけ沢、しとどの岩屋沢の水を集めて湯河原の町を流れ相模の海にそそぐ。南郷山の山肌は昨夜の雨が途中で雪になったらしく積もって朝の日差しにまぶしい。


     白梅のかほり隠さず雲の色
     白梅や雲の航跡伸びきたる
     紅梅の梢にやすむ岩のぼり
     山頂の春雪に立つ赤きシャツ
     山頂に珈琲沸かす春の雪     
     紅雲のたなびく梅の宴かな
          
  飛行機の通り道なり梅の枝につぎつぎかかる雲の航跡
  のぼるたび出会へる桜つぼみさへ見えざる枝を天に伸ばせり
  山頂の春雪ふめばまなかひに熱海の奥の日金山見ゆ
  裏道をたどらば雪のぬかる道もときた道をわが引き返す
  山頂までまだ一時間はと教へればもう帰ろうと騒ぐをみな等
  人去りし宴の山に咲き出づる夜目にも白き “滄溟の月”