天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

スモモ

中国揚子江沿岸原産のバラ科の落葉小高木。4,5月に白い花が咲く。6,7月には赤紫色または黄色に熟し、甘酸っぱい。スモモの果実はモモに比べて酸味が強いことが、和名の由来となっている。漢字では「李」とも書かれる。その花を李花(りか)という。なお…

仏の座

キク科の越年草で小鬼田平子のこと。春の七草の一つ。名前の由来は、葉っぱが蓮華の円座に似ているところから。 女童の手がかしこくて仏の座 木村虹雨 雲割れて日矢の射しけり仏の座 豊長みのる 野仏の影かたぶきぬほとけのざ 田辺博充 春の野のなづな清白(…

里山の山桜

里山に行くと山桜が満開になっている。藤沢の新林公園で気付いた。この花を見るといつも次の名歌を思い出す。 敷島のやまと心を人とはば朝日に匂ふ山さくら花 本居宣長 山桜は、日本の野生の桜の代表的な種で、和歌にも数多く詠まれている。サクラの仲間では…

深海魚

大陸棚より沖合の水深二百メートルの深海にすむ魚。高い水圧と暗闇に適応しており、発光器をもつもの、目の大きくなったもの、目の退化したもの、体が柔軟なものなどが棲んでいる。体の色は単純なものが多い。チョウチンアンコウ、リュウグウノツカイ、シー…

珊瑚

サンゴ虫の群体の分泌した石灰質の骨格。サンゴ礁はそれと石灰藻とが堆積して生じたもの。サンゴ虫は、触手と隔膜をもち円筒形。口・胃・腔腸がある。受精卵は浮遊して着生、芽生により生長する。日本近海では、四国沖、九州西部、小笠原の海底の岩石に、ア…

円覚寺の白木蓮

もくれんの咲く季節になると毎年訪れるのが、北鎌倉円覚寺の開基廟である。ここの庭には、昭和八年に魯迅から贈られた白木蓮がある。受付で百円を払うと、線香一本に火をつけて渡してくれるので、それを廟の前の灰鉢に立てて礼拝する。そしてベンチに腰かけ…

水ぬるむ

横浜市の舞岡公園に行ったら、たまたま満開のおかめ桜と河津桜に出逢えた。両者の違いがよく分った。おかめ桜は、紅色の一重の花が下向きに咲く。山道を歩くとトサミズキ、ミツマタ、ハクモクレン、シデコブシ などの花を見ることができた。特に丈高い辛夷の…

白木蓮と鴨

藤沢の郵便局に葉書を出しに行った帰りに遊行寺によったら、放生池の畔の白木蓮の大木が満開になっていた。毎年見ているが、みごとである。これにより遊行寺は「東国花の寺百ヶ寺」に選ばれている。満開の花を映した池の面には、若い鴨が二羽遊んでいた。 池…

屋根葺きに使われる建材。史上、初めて瓦が登場するのはおよそ2800年前の中国とされる。日本にはおよそ1420年前の西暦588年、百済から仏教と共に伝来。飛鳥寺で初めて使用されたという。スタイル・用途・焼成法・色・等級・産地などの観点から分類すると1000…

春のイソヒヨドリ

江ノ島をぶらぶら歩いてきた。かながわ女性センター側の海岸では、釣人が数人釣りをしていたが、イソヒヨドリがやってきて、足元の餌をついばんだ。用心深い鳥のはずが、こうも人に近づくかと驚いた。この鳥は、ヒヨドリに似てはいるがスズメ目ツグミ科に分…

壁(3)

さまざまな機能を持った壁がある。 防音壁: 遮音性を特に高めたもの 吸音壁: 音の反響を防ぐ 防火壁: 火事の延焼を防ぐ 放射線遮蔽壁: 放射線の漏れを防ぐ 収納壁: 収納する機能と部屋を仕切る機能の融合 地にくだる力といへどにぶくして鎧戸は壁の部分…

壁(2)

壁には建物を支える構造体となっているものと、そうでないものがある。前者は「耐力壁」、後者は「帳壁」「非耐力壁」と呼ばれる。外壁が石壁・レンガ壁などでできている西欧の伝統的な建築物の壁が耐力壁であった。日本の木造住宅の壁が典型的な非耐力壁で…

壁(1)

家の四方を囲うもの、建物の仕切りとなる平板状の部分(外壁)、または室と室の隔てとなるもの(内壁や間仕切り壁)。「塀」と同義で使われることも多い。 まどろまぬかべにも人を見つるかな正しからなむはるの 夜の夢 後撰集・駿河 真萩ちる庭の秋風身にし…

鰺(続)

2008年4月5日の続きである。スズキ目アジ科の魚。通常はマアジをいう。他にシマアジ、カイワリ、ムロアジ、イトヒキアジ など。黒潮に乗る回遊魚だが、沼津では養殖されており、天然産よりも味が良く、高値で取引されている。俳句では夏の季語。 海までの街…

遣り水

辞書を参照すると、以下のように解説されている。 水を庭の植え込みや盆栽などに与えること。寝殿造りの庭園などで、外から水を引き入れてつくった流れ。自然の美しさを表現するとともに、夏の暑い京にあって避暑の意図をも持つ庭園設計の一つであった。 な…

屏風絵

屏風は、部屋の仕切りや装飾に用いる家具。言葉の由来は「風を屏(ふせ)ぐ」にある。小さなふすま状のものを数枚つなぎ合わせたもので、折りたためる。 絵屏風にほのか色づく萩群れて余白静かに土のひろがり 小林邦子 彦根屏風、方寸黄金の切手にて禿(かぶろ)…

おかめ桜

イギリスの桜研究家イングラムがカンヒザクラとマメザクラを交配して作った。淡い紅色の一重咲き。花が下を向いているのが特徴。ソメイヨシノより少し早い早咲きで花期は2月下旬から3月上旬ごろ。名前の由来がはっきりしないが、創作者のイングラムが、桜は…

鑑賞の文学―俳句編(41)―

蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな 芥川龍之介 今回は、俳句の評価に最高と最低との両極端がでることについて。掲句は中学校の国語の教科書にものったこともある有名な句なのだが、次に示すような両極端な評価がなされた。[飯田蛇笏]大正期の代表的俳人。俳誌…

松田山の春

例年のように小田急線新松田駅から歩いて松田山に河津桜を見に行って来た。行く途中で小雨が降って来たので、あきらめようかと思案したが、雲の切れ間に青空が見えていたので、そのまま登った。 菜の花も満開。西の空には、雲の間から凍った雪の富士が見えた…

藺草(いぐさ)

和名は単に「藺」と言った。単子葉植物イグサ科の植物。湿地や浅い水中に生え、泥に根を下ろす。畳表を作るのに使われる。その茎は帽子や枕の素材としても利用される。俳句では夏の季語。 上毛野伊奈良(かみつけのいなら)の沼の大藺草(おほゐぐさ) よそに見…

畳(2)

畳には縦横比が2:1になっている長方形の一畳サイズと、これを横半分にした正方形の半畳サイズの2種類がある。サイズは部屋の寸法に合わせて注文生産されるので、一定していない。ただ部屋の間取りには、京間、中京間、江戸間、団地間などが普及しているので…

畳(1)

畳は日本固有の文化で伝統的な床材。芯材になる板状の畳床の表面を、藺草を編み込んで出来た敷物状の畳表でくるんである。大昔は藁を重ねただけだった。現代の畳に近づくのは平安時代に入ってから。 瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけ…

鶸(ひわ)

アトリ科の鳥。日本では、河原ヒワ、真ヒワ、紅ヒワの三種が見られる。北海道の森林で繁殖し、冬鳥として本州以南に渡ってくる。雀よりやや小さい。背が黄緑。雄の頭上は黒い。 柱時計の下につりたる籠のなかにま鶸はひと日囀りやまず 結城哀草果 朝ぞらの冬…

蘭学事始め

文化12年(1815年)、83歳の杉田玄白が蘭学草創の当時を回想して記し、大槻玄沢に送った手記。後に福沢諭吉により公刊される。 『蘭学事始』は、戦国末期の日本と西洋の接触から書きおこし、蘭方医学の発祥、青木昆陽や野呂元丈によるオランダ語研究などを記…

湯河原・梅の郷

WEBで何度か開花状況を確認してから湯河原梅林に出かけた。小田原フラワーガーデンに続いて満開の梅林を見ることができた。規模と雄大さは神奈川県随一ではないか。幕山の岩壁を背景にしているところが野性味にあふれている。数年前までは、幕山頂上まで登っ…

嘴(くちばし)(2)

鳥類以外でも嘴という器官を持つものがいる。哺乳類や爬虫類の一部に見られるもので、例えば、カモノハシ、烏賊、恐竜、翼竜 などである。ガラパゴス諸島に棲むフィンチ類の嘴の研究から、チャールズ・ダーウィンの進化論が生まれたことはよく知られている。…

嘴(くちばし)(1)

くちばしは、鳥類の採食器官だが、他にも毛づくろい、捕食対象の殺害、求愛行為、雛に餌を与える、など様々な用途がある。くちばしの形はその鳥の生活と深い繋がりがあり、それによってくちばしの形も様々な適応を示す。したがって、くちばしの形は鳥毎の大…

指紋

指紋を個人の特定に用いる方法は、古代バビロニアや中国で物に拇印を残すなどから始まったようだ。日本で警視庁が指紋認証を導入したのは、明治期に日本にきたヘンリー・フォールズの研究がきっかけであった。フォールズは、明治6年に合同長老教会の医療伝…

爪(2)

人間の爪切りは、赤子の頃から必要であり神経を使うが、ペットの爪切りも大変。犬や猫、文鳥やインコなどの小鳥、はてはグリーンイグアナなどまで。犬用の爪切りまで売られている。獣医に頼むこともあるようだが、それでも時に失敗することがあるらしい。 白…

爪(1)

学問的に爪を定義すると、有羊膜類の指の先端の背面にある表皮の角質が変化し硬化して出来た板状の皮膚の付属器官 ということになる。哺乳類では種によって特化しているが、もともとは鱗から派生したという。人間の場合、爪の下部には毛細血管が集中している…