2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧
熱帯アジア原産のヒユ科の一年草。鶏の鶏冠状の花序になるところから、この名前がついた。古名は、韓(から)藍(あい)。花序の色には、黄、白、桃、赤などがあるというが、赤紫のものしか見たことがない。 次の子規の句はよく知られている。 鶏頭の十四五本も…
鎌倉市の腰越は、古くから鎌倉への入り口であり漁業の村として栄えていた。ここには、源義経の腰越状で有名な満福寺がある。天平十六年(744年)僧・行基が開山した寺という。義経の遍歴の鎌倉彫り襖絵や腰越状の下書きと称するものが展示されている。また庭…
鵠沼海岸や片瀬海岸では、海の家はすっかり取り払われて、海水浴シーズンの名残も見当らない。広々とした眺望である。曇りの日は、すでに冬の景色。 萩の花建仁寺垣を越えて垂る 蜂を呼ぶ背高泡立草の花 土牢は御霊窟なり菊の花 狛犬のほおかむりせる岬かな …
トウモロコシは、南米アンデス山麓原産でイネ科の一年生植物。人間の食料や家畜の飼料となるほか、コーンスターチや油、バイオエタノールの原料としても重要な穀物である。地方によって、トウキビ、ナンバ、トウミギ、コーンなどの呼び名がある。トウモロコ…
マメ科ハギ族ヤマハギ類の数種を指す。東アジアや北米に分布。花の色には、紅紫色、白色、うすい黄色などがある。秋の七草の一つで、古くから和歌や俳句に詠まれて愛されてきた。 以下では、現代短歌に詠まれた例をあげる。 この真昼神われに助力するらしく…
おみなえし と読む。女郎花と書くようになったのは平安時代のなかば頃からという。合弁花類オミナエシ科オミナエシ属 の多年生植物。周知のように秋の七草のひとつ。万葉集では14首に詠まれている。大和の佐紀が名所だったのか、佐紀の枕詞。粟花(あわば…
初夏から秋に濃紫色の花をつける。ヤマアザミ、モリアザミなどとも。 野薊に触れば指やや痛し汐見てあればすこし眼いたし 北原白秋 くらき夜の大寺を吾が出でくれば薊の花に稲妻のしつ 川田 順 ここを過ぎれば人間の街野あざみのうるはしき棘ひとみにしるす …
以前にも紹介したが、旧三井財閥本家の別荘地跡を利用した公園である。昭和62年4月に設置された。公園内からは縄文式土器や横穴墓、鎌倉古道などの文化遺産が発掘された。日本庭園や広場、茶室などがあり、大磯町郷土資料館は、横穴式古墳群とともに大磯の歴…
ノボタン科の常緑低木で、ブラジル地方が原産というが詳しいことは分らない。観賞用は寒さに弱いので、温室で栽培される。漢名が、山石榴。 ほぐれゆく蕾のさまはいまだ見ずこの野ぼたんの深き紫 大悟法俊雄 朝咲きて夕べは散らふノボタンを心しづむるよすが…
古来、稲荷と言えば、京都市伏見区稲荷山西麓にある伏見稲荷のことを指した。和銅四年(711)に山頂に鎮座したが、弘仁七年(816)に現在地へ移ったという。もともと秦氏の氏神であったが、全国に稲荷社が展開するに及んで稲荷神社の総本宮になった。稲荷山…
ツリフネソウ科の一年草。北海道から九州、東アジアの低山地の谷間にはえる。全体に汁が多く柔らかい。夏から秋にかけて短い小柄の先に横向きに下垂した紫紅色の花をつける。 釣舟草の花見まく欲り咲きそめく秋まで生きむ命を祈(ね)ぎつ 林 光雄 [注]林 光…
キンポウゲ科トリカブト属の総称。日本には約30種自生しているというから驚く。名の由来は、花が古来の衣装である鳥兜や烏帽子に似ているところから。塊根を乾したものは漢方薬や毒として用いられる。ドクゼリ、ドクウツギと共に日本三大有毒植物の一つとさ…
入社して一年を会社の独身寮で過ごした後、結婚してアパートを借りたところが、横浜市戸塚区舞岡町であった。当時は、現在のような公園はなく、里山そのものであった。それが現在では、市民のボランティアが管理するみごとな里山公園になっている。舞岡公園…
カマキリ目の昆虫の総称。漢字では螳螂(とうろう)を当てる。鎌虫、蠅取虫、疣虫(いぼむし)、疣じり、疣むしり などの呼び名もある。 うつせみのわが息息(そくそく)を見むものは窗(まど)にのぼれる 螳螂(かまきり)ひとつ 斎藤茂吉 おとろへしかまきり一つ…
ひさしぶりに神奈川県立座間谷戸山公園に行ってきた。小田急線・座間駅で下車。途中、星谷寺に寄ってみたが特段に変わった風情は見られなかった。 公園を入ったところに立つエゴノキの実を食べにくるヤマガラの写真を撮る人たちがいた。私もチャンスを待った…
ザクロはインド北西部からイランが原産。わが国には平安時代より以前に渡来したという。まだ一度も食べたことがない。 恍惚たりざくろが割れて鬼無里(きなさ)なり 岡井省二 恵林寺の前火のごとき石榴売る 宮田正和 ざくろの不逞な開口 沈黙の白磁の皿にのけ…
藤沢市新林公園は、むかしの里山である。田畑は少なくなってしまったが、貯水池はまだ残っている。公園に隣接する小学校の生徒らが稲を育てている田んぼも数枚ある。今の時期、刈り取り前で、鳥除けの網が張られ案山子も立っている。 古池や山田の奥の蝉しぐ…
このところ二三日雨が降り続いて、どうやら残暑の候は過ぎたようである。富士山にも初冠雪が見られた。晴れた日の江ノ島ヨットハーバーでは、多くの蜻蛉が飛び、林立する帆柱が秋風に鳴っていた。 夏逝くや帆綱帆柱鳴りやまず たひらなる岩床はしる秋の潮 磯…
今年は、秋刀魚が不漁で鰯が豊漁という。鰯といえば、普通はニシン科のマイワシを指すが、潤目鰯、片口鰯などにも言う。宮中では、官女が「むらさき」と呼んだ。 鰯寄る細江のそらのうちけぶり鳶の群れゐて啼けば悲しき 若山牧水 手にのせてうるめ鰯のまなこ…
柿も太古の昔から、わが国で食用になっていたらしい。縄文や弥生時代の遺跡から種が出土している。柿は、甘柿と渋柿に大別されるが、鎌倉時代に甘柿が現れるまではほとんど渋柿だったという。渋柿は樽柿、串柿、ころ柿、吊し柿などにして食べた。原産地は中…
毎年とりあげているので繰り返しになるが、ヒガンバナ科の多年草で、古く中国から渡来したという。ただ、古典和歌に詠まれている例を知らない。彼岸花の別称として、曼珠沙華、狐ばな、死人花、天蓋花、幽霊花、捨子花 など多様。全草にアルカロイドを含み有…
「かかし」あるいは「かがし」 と読む。農作物を鳥獣から守るために田畑に立てるものであるが、稲田に立っているものが代表的。地方によって呼び名が異なる。百科事典によると、次のような例をあげている。 ソメ: 長野、岐阜、愛知 シメ: 徳島、種子島 オ…
「はざ」と読む。刈り取った稲を掛け干すもの。丸太や竹を組み上げたり、立木に横木を渡したものがある。稲掛、稲木ともいう。 かさこそと掛稲(はさ)の裾出(づ)る畦雀陽のまだ残る穂を 掛きわけて 北原白秋 あきつとぶ門田のくろの稲掛のかなたに青き小筑波…
かわわじんじゃ と読む。相模之国二之宮に位置する。古くから二宮明神と称され、延喜式にも記載されている。ちなみに一之宮は、寒川神社。創祀は11代垂仁天皇の朝で、祭神は大名牟遅命(日本の国土を開拓した神)、大物忌命(殖産興業に功績があった神)、…
イネ科の一年草。水田に作る水稲と畑地に作る陸穂(おかぼ)の二種類がある。成熟度の点から、早稲(わせ)、中稲(なかて)、晩稲(おくて)と区別する。また、米粒の澱粉質により、うるちともちの二種類がある。 稲搗けばかかる吾が手を今夜(こよひ)もか殿の若子(…
栗はブナ科の落葉高木。縄文時代の三内丸山遺跡(約5500年前)には大規模な栗栽培の跡があり、時代が下って「日本書紀」には持統天皇の時代(7世紀)に、国家が栗の栽培を奨励していたことが記されている。このようにわが国では太古の昔から栗を食していたこと…
バラ科ナシ属落葉高木の総称。日本の梨は、野生種を古くから改良したもの。妻梨の木と詠われる例もある。棚仕立で栽培され、夏から秋にかけて収穫される。品種には、二十世紀、長十郎、幸水、菊水などがある。洋梨やシナ梨は明治期にわが国に輸入されたもの…
メキシコ原産のキク科の多年草で、日本へは1842年にオランダ船がもたらした。当時はテンジクボタンと呼んだ。多数の品種と花型がある。 義仲の墓へダリアを剪りてくる 梶山千鶴子 天地(あめつち)の哺育のままにあまえ咲くダリヤの花は幼な さびたり 伊藤…
漢字では、御翅黒蜻蛉、鉄漿蜻蛉などと書く。カワトンボ科のトンボ。ハグロトンボが正式名称だが、カネツケトンボ、クロヤンマ、灯心トンボなどとも。 おはぐろがたためる翅ををりをりにさし開きては息づくらむか 宇都野 研 ぬばたまの黒翅(くろは)蜻蛉(あき…
中型のトンボで初夏に発生、晩夏から秋にかけて老成し、真紅に変身する。わが国にはアキアカネなど約20種が生息する。ずいぶん種類が多い。 「ゆうやけこやけの あかとんぼ おわれてみたのは いつの日か」 で知られる童謡の「赤蜻蛉」は、作詩・三木露風、…