天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

豆腐(2)

豆腐は木綿豆腐、ソフト豆腐、絹ごし豆腐、充填豆腐の4種に大別される。ところで堅豆腐(かたとうふ)は、現在の日本で一般的となっている製法と異なり、濃度の高い豆乳を使ったり、にがりの代わりに海水を使うなど、さまざまな方法を用いて保存できるようにし…

豆腐(1)

2013年8月24日でとりあげているが、それらと重複しない作品を二回に分けて紹介する。豆腐は日本、中国、朝鮮半島、台湾、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、インドネシアなど東アジアや東南アジアの国々で食べられている。豆腐は中国から日本へ伝えら…

甲冑

甲は鎧(胴部につける) 、冑は兜(頭部につける) を意味する。刀剣や弓矢を用いた戦闘時の防御用具である。古代ギリシアでは青銅や革の甲冑が使われていた。古代中国では殷代に青銅兜があり,周代には革甲があった。古代の日本には埴輪に見られる挂甲など…

洞窟

地中にある人間が入れる以上の大きさの空間のことで、横穴と縦穴の形がある。自然にできた鍾乳洞、溶岩洞、海食洞などと人間が掘った人工洞窟(例:アルタミラ洞窟)とがある。 日のひかりいたらぬ山の洞のうちに火ともし入れてかね掘り出す 橘 曙覧 さうだ…

龍ケ岩洞(りゅうがしどう)

浜松市北区引佐町田畑の標高351mの龍ケ岩山の山中にある約2億5000万年前の地層の大洞窟である。延長1,000mに及ぶ洞内のうち400mを探勝でき、落差30mの地底の大滝や鍾乳石などを見ることができる。大正時代から鍾乳洞の存在が知られていたが、初めて学術調査…

龍潭寺

浜松市井伊谷に萬松山龍潭寺はある。天平5年(733)に行基菩薩によって開創されたという。この地を治めた井伊氏は、保元の乱で源義朝に、鎌倉時代には源頼朝に仕え、南北朝時代では御醍醐天皇皇子、宗良親王を迎え北朝と戦い武勲をあげた。戦国時代、24代直…

晩秋の円覚寺

十一月中旬になって、鎌倉の紅葉が気になってしょうがないので、とりあえず北鎌の円覚寺に行ってみた。案の定、まだ少し早いようであった。弁天堂から眺める東慶寺の裏山や周辺の森も色づいていない。時宗廟の仏日庵では、今年も華道家・假屋崎省五の作品展…

野牡丹

ノボタン科の常緑低木でブラジル原産。花の色は紫が多い(紫紺野牡丹)が、赤や白もある。寒さに弱いので温室で栽培されるが、寒さに強い改良品種もある。幹は分枝し、葉は卵状楕円形で、はっきりした数状の縦脈がある。枝葉には褐色の粗毛が生える。 ほぐれ…

蜂の歌(3)

ここでは蜜蜂の歌をとり上げる。在来種のニホンミツバチはセイヨウミツバチに駆逐されて、野生種が山地の洞に細々と生き残っているにすぎない。セイヨウミツバチは、蜂蜜と蜜蝋を採取する目的で明治時代にヨーロッパから輸入されたもの。 みだれとぶ花粉まみ…

蜂の歌(2)

スズメバチは、俗にクマンバチと呼ばれ、日本の蜂類中最大である。体長はオスで25ミリ、メスで40ミリ といったところ。その巣の大きさは直径80センチにもなる。 粗朶積める下の巣穴を出で入りて十一月の胡(すずめ)蜂元気 石川不二子 黄色光の匂ひを放つ木犀…

蜂の歌(1)

すでに2010年9月29日と今年の9月24日において取り上げているが、もっと多くの歌が詠まれているので、続きとしてあげていこう。 食卓の紅茶に蜂が来て嘗むる息づき速き腹が見えつつ 高安国世 秋日ざしの中に漂う蜂一つかそけき風に乗るとき迅し 高安国世 くち…

ピアノ(続)

2010年8月17日にとり上げているが、ここはその続きである。ピアノ製作は18世紀後半にウィーンを中心に盛んとなった。この時代のピアノは現代の一般的なピアノよりも軽快な響きを持ち、減衰が早かった。 ピアノ草創期と当時の作曲家との関係を見てみると、バ…

モーツアルト

オーストリアのザルツブルクに生まれる。5歳にして最初の作曲を行う。35歳でオペラ『魔笛』初演、死去。死因は、「リウマチ熱」であったという(1756年1月27日 - 1791年12月5日)。生涯の作曲数は900曲を越える。ハイドン、ベートーヴェンと並んでウィーン古…

しじみ(2)

20世紀末から、中国、台湾、韓国を中心とした東アジアの淡水域に生息するタイワンシジミ類が輸入され繁殖するようになり、在来種のマシジミの存続を危うくさせるまでになっている。 蜆貝からす貝などうち群れてわらへるごとし海女が子の群 若山牧水 十三湖の…

しじみ(1)

シジミガイ科の二枚貝。わが国には汽水域にすむヤマトシジミ、河川や湖沼にすむマシジミ、琵琶湖特産のセタシジミなどがある。蜆掻きで採取する。蜆汁やむき身を山椒と共に佃煮にする。 ゆくものは逝きてしづけしこの夕べ土用蜆の汁すひにけり 古泉千樫 海砂…

黄金

「こがね」「おうごん」「くがね」と呼ぶ金をとり上げる。佐渡の金山は古来有名で、ヨーロッパには、日本が黄金の国と伝わっていた。 天皇(すめろぎ)の御代栄えむと東(あづま)なる陸奥(みちのく) 山に金(くがね)花咲く 万葉集・大伴家持 ひかりさす瑠璃のこ…

化石

化石は、過去の生物の遺骸や遺跡が、地層の中から発見されたもの。化石から知られる生物のことを古生物という。遺跡化石として有名なものに、タンザニアで発見された、360万年前のアウストラロピテクスの足跡がある。親子が並んで二足歩行している状態のもの…

松茸(続)

芳香、風味共に優れて茸の王者である。ただし傘が開くと芳香、風味共に落ちる。赤松林に生える。わが広島の山林でも生えているはずだが、林の手入れをする人のいない過疎地なので、どれほど採れるのか知る由もない。松茸はすでに2009年10月22日にとり上げて…

力石探訪のコツ

今まで十七回にわたり「神奈川の力石」と題して、神奈川県下にある多くの力石を見て来た。この探訪のきっかけは、四日市大学の高島教授の著書『神奈川の力石』(2014年2月3日刊、岩田書院)にある。高島先生は力石研究の第一人者であり、北海道から沖縄まで…

石蕗

「つわ」「つわぶき」と読む。近所の公園や山路を歩くと、石蕗の黄色の花が目立つ。今までに3回ほど取り上げたが、以下にはそれら以外の作品をあげる。俳句では多く詠まれているが、ここでは山口誓子の石蕗全句を見ておく。 つはぶきの終日陰を出でずして …

句集『遺産』を読む(2)

句集の作品から、森尻さんが日本や海外の各地に出かけられていることが分る。海外で詠む俳句の難しさは、季語が日本の場合のようには調和しないところにある。子規、虚子を初め現代俳人まで多くの試みがあるが、あまり話題にならない。季語に替って歌枕(地…

句集『遺産』を読む(1)

森尻禮子さんの第二句集『遺産』がふらんす堂から発刊された。 俳句の本質が、諧謔にあることは、ややもすると忘れられがちで、客観写生や境涯詠が注目されることが多い。また俳諧とか諧謔とかの言葉は、古臭く現代のセンスに合わない、とも思われる。だが、…

鋏(続)

2012年11月19日の項の続きである。鋏の歴史をみると、西洋では古代エジプトの壁画に鋏が描かれているとか、紀元前1000年ごろの古代ギリシアの鋏が出土しているらしい。日本には6世紀に中国を経由して伝わったとされ、古墳からの出土例がある。ちょっと信じが…

オットセイ

漢字では膃肭獣という表記になる。食肉目アシカの海獣で、北太平洋に分布。水中の動作は俊敏だが、陸上では遅鈍。夏の繁殖期には何十万と群れ集まり、雄は15〜60頭の雌を従えてハーレムを作る。一回の妊娠で生れるのは一子。 おつとせい氷に眠るさいはひを我…

豚(続)

哺乳綱鯨偶蹄目イノシシ科の動物で、イノシシを家畜化したもの。ブタは体重や皮膚の状態、内臓の大きさなどが人間に近い動物であるため、臓器提供用動物として、研究がされており、大学の医学部では解剖学の実習において生体解剖に利用されている。 すでに20…

カメラ

写真撮影のための最初のカメラは1839年フランスの画家ダゲレオが作らせたという。わが国には天保十二年(1841年)頃にもたらされたというから驚く。戦後の日本のカメラ工業の進展は目覚ましく、光学系では世界トップになっている。 金軟屏(きんなんびよう)か…

神奈川の力石17

座間市の以下の三カ所を訪ねたのだが、二日かかってしまった。実は入谷の道祖神の場所をWEB上の地図で探した時、ポイントする場所を間違えてプリントしたため、現地で見つけることができなかったのである。後から反省すれば、これら三カ所は徒歩で一日で…

牡蠣(続)

2009年11月5日と2013年4月5日の項で紹介した作品と重複しないものを以下にあげる。 NHKのテレビ番組「キッチンが走る」は、毎週見ているが、その中で東日本大震災の大津波の被害を克服して宮城の牡蠣養殖が復活したことを知った。日本一旨い、というから…

ベンチ(2)

富山県南砺市の瑞泉寺前に設置された全長653.02mのベンチは、「世界一長い木製ベンチ」としてギネス世界記録に登録されているらしい。 ところで野球では、監督・コーチ陣など作戦を担当する人たちをベンチと称することがあり、米国のMLBではコーチングスタッ…

ベンチ(1)

古くは背もたれのない腰掛け用の台を意味したらしい。今では横に長い椅子の形状をした腰掛けをさすことが普通である。ベンチは、公共の広場、公園、待合室、駅のプラットホーム、個人宅の庭 などといった場所に置かれている。 見るとなくベンチの男を見てゐ…