天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

十二月の短歌人・東京歌会は、毎年題詠だが、今年は「指」。通勤途上、国際ロボット展への往復途上で次のような歌を作ってみた。この中からどれを詠草として提出するか。 ヒロシマは親ゆび小ゆび薬ゆび人差しゆびも中ゆびも溶け 思はざる力ありけり赤き児は…

長良川

「短歌人」十二月号で、今年は「山の歌・川の歌」という題詠特集を掲載している。それに投稿した歌と小文が載ったので次にあげておく。夏休みに訪れた長良川の鵜飼をテーマにしたもの。 幸若(かうわか)の謡(うたひ)ひびかふ長良川かがり火はじけ 鵜舟くだり…

日吉丸と虎之助

今日はまた名古屋に日帰り出張。昼前の時間を豊臣秀吉や加藤清正が生れた中村区を訪ねた。豊国神社、常泉寺、妙行寺、油江天神社、素戔鳴(すさのを)神社と歩いた。秀吉生誕の地として、豊国神社と常泉寺の二箇所の候補がある。妙行寺は加藤清正誕生の地であ…

黄葉の北鎌倉

午前中を円覚寺、明月院で過ごした。午後一時からは、短歌人・十一月の横浜歌会に出席。 円覚寺仏殿の掲示板にめずらしく俳句が書かれていた。 雨風の恩を染め出す紅葉かな説教臭がするのはしかたない。境内は、紅葉を探る観光客で混み合っていた。これは明…

大山寺

大山に紅葉を見に行く。例年のことながら大変な人出である。参道に入ると道路には、多くの老人たちが交通整理をしている。どだい自家用車で乗り付ける人が多すぎるのだ。駐車場の空くのを延々と待っている。阿夫利神社までの登りはケーブルカーに乗らず女坂…

『おりいぶ』

俳句結社「古志」では、長谷川櫂主宰が飴山実に師事したこともあって、『飴山実全句集』がメンバー必読の書となっており、毎号、鑑賞文がのっている。で、小生も以前から読み始めているのだが、別の本に寄り道するため一向にはかどらない。やっと第一句集の…

銀杏黄葉

靖国神社の銀杏並木を見ているといくつかのことに気づく。特にギンナンができたり、黄葉、落葉の季節には、個性のあることに感心する。雌と雄の樹があること、そしてこれは当たり前だが、雌の樹にギンナンがなること、黄葉や落葉の時に違いがあること、従っ…

時頼忌俳句大会

正午までは、久しぶりに材木座海岸から和賀江を歩き、天照山光明寺に寄り、鶴ヶ丘八幡宮を経て十二時過ぎに建長寺に入った。 第二次大戦後に始まったのだが、毎年、勤労感謝の日に建長寺で時頼忌俳句大会が開催される。 今回は、第五十三回という。初めて参…

東山動物園

午前中を東山動物園で過ごした。ここの池は、新入社員の頃、デートで乗ったボートが傾いて、背広の半分を濡らしてしまった思い出の場所である。植物園も併設されていて、園の広さは相当なもの。隅から隅まで見て回るには、数日を要するであろう。紅葉の見頃…

長久手古戦場

長男夫婦に女児が生れたので名古屋に出向いた。生れたばかりの長男を風呂に入れたのは三十五年前なので、新生児の大きさはとっくに忘れてしまっているが、今目の前にするとなんとも小さく見える。女児として標準なのだが危うく思えるのは、こちらの年のせい…

HOKUSAI

今日は午後から、上野の東京文化会館で短歌人の東京歌会がある。その前に東京国立博物館で開催中の北斎展を見に行く。だが、壁に掛けられた浮世絵は意外に小さく見物人が多いので、順番の列に並んでいては、見終わるまでにどれだけ時間がかかるかわかったも…

小春日

鳥インフルエンザが入ってきたら役に立たないが、今年も念のためにインフルエンザの予防注射をしに医院にいった。今日は疲れる運動は避けなければならないので、北鎌倉中心に歩いてきた。円覚寺、東慶寺、建長寺、海蔵寺、寿福寺などに紅葉を探ったが、まだ…

宿命(続)

インターネットで注文しておいたボジョレヌーボがさきほどとどいた。そのうちの赤を開け、サーロインステーキ、ピザ、チーズ、フランスパンなどをさかなに飲みだした。美味い! と気分がのったところで昨日の続きを書こう。 これも『俳壇』十二月号に出てい…

宿命

『俳壇』十二月号に「現代俳句の精鋭たち(最終回)宮坂静生」を読んでいて、あらためて短詩型の危うさを感じた。ひとつの言葉なり言葉の斡旋が先行する別の作品を思い起こさせるのである。ベテラン俳人の宮坂静生の作品だけに驚く。 捨てマッチ地に燃え青春…

短歌における笑い

1 瓶にさす藤の花房短ければ畳の上にとどかざりけり 2 日本国の児童諸君はおしなべて辛抱づよくあれとしぞおもふ 3 税務署に届けに行かむ道すがら馬に逢ひたりあゝ馬のかほ 4 人富みてゆたかになれる面相を牛馬見なばいかにか見らむ 5 われの背にゐるを…

同窓会(続)

相部屋の相棒のいびきがひどくて熟睡できなかった。おまけにやけに朝早く起きて居間の机でなにやらごとごとしているのが耳につき、たまったものではない。しょうがないので明けやらぬ空を見上げて硫黄湯の露天風呂に浸かった。 ゆっくり朝食をとった後は、流…

同窓会

今日から一泊二日で箱根仙石原に大学時代の同窓会にでかける。心配していた雨も朝からあがっていて、紅葉も期待できそうだ。この時期、土日の箱根の自動車道は、身動きできないほどの交通渋滞に巻き込まれることを経験で知っているので、登山電車、ケーブル…

作歌の現場(続)

佛は常にいませども、現ならぬぞあはれなる、人の音せぬ暁に、 ほのかに夢に見え給ふ。 彌陀の御顔は秋の月、青蓮の眼は夏の池、四十の歯ぐきは冬の雪、 三十二相春の花 この二連は、『梁塵秘抄』巻二から抜いたもの。仏教ならびにさまざまの経典の有難味を…

作歌の現場

北原白秋に限らないが、この時代の詩人や歌人は、歌謡の原点である『梁塵秘抄』や『閑吟集』を読み込んでいる。白秋は、さらに端唄、小唄、長唄、近世の童謡などにのめり込んだので、彼の短歌や詩には、その影響が顕著である。 白秋作の小唄に「城ヶ島の雨」…

言葉の生まれる現場

雨、風などの言葉はいつどのように生まれたのだろう。山中智恵子のよく知られた歌にあるように。 三輪山の背後より不可思議の月立てりはじめに月と呼びしひとはや 当たり前だが、雨、風などは万葉集や古事記の歌にも出てくる。初めに音だけの言葉があり、後…

昆布うどん

出張の帰りに夕方新大阪駅で新幹線に乗り換える間に習慣になっていることがある。駅構内の立ち食い蕎麦屋で、昆布うどんを食べる。その後、駅弁として柿の葉鮨か鯖の棒鮨を買う。今日も同じである。熱い饂飩にだし汁をかけ、きざみ葱、おぼろ昆布そして申し…

仏像

横浜市鶴見の曹洞宗総持寺で開催されている勢山社の仏像作品展を見にいった。勢山社は、仏像彫刻師・渡辺勢山が主宰している仏師の結社である。工房は比叡山の麓にあるらしい。古い仏像の修理、社寺に納める新しい仏像、神像などを集団で彫刻する。展示品に…

三浦半島・荒崎

「ちょうどお客さんが立っているところで昨日、女の人が立っていたんですよ。自殺のシーンの撮影らしく、高田順次や泉ピン子などがきていましてね。」 「でもこの高さでは自殺は無理でしょう。」 「まあ撮影ですからね、テレビではどんな風にみえるんでしょ…

野島

横浜八景島には何度もいったが、今日は、安藤広重・金沢八景のひとつ「野島の夕照」で知られた野島に行く。平潟湾の入り口にある小さな島であるが、発掘された貝塚の歴史によると、縄文時代早期後葉、すなわち紀元前六、七千年以降から生活の痕跡があった。…

洒水の滝

丹沢山系にもそろそろ紅葉前線が降りてきた。ひさかたぶりに山北を訪う。河村城址を越え洒水の滝へと歩く。山北は、相模・甲斐・駿河の三国の境界にあたるため、砦があちこちに築かれたらしい。特に河村城は甲斐、駿河から足柄にいたる交通の要衝にあたった…

改革まんじゅう

「かりん」十一月号が今日届いた。もともと「かりん」に入会したのが、馬場あき子の歌に惹かれたためであるから、毎号、あき子作品には特に注目している。ただ、歌集や一般雑誌に掲載された作品に比べると、生硬な感じがする。 狸は千ひとは八百、馬六百知夫…

ちはやふる

今日から十一月。靖国神社拝殿社頭掲示の内容が替わった。これはチラシに印刷されて箱に入って置かれており、誰でももらえる。チラシには明治天皇の御製がプラスされている。今月は、四海清と題する明治三十八年のお歌、 よものうみ 波しづまりて ちはやふる…