折に触れて 七首 認知症に効くとありせば月ぎめで購入したりセサミン錠剤 「折れ枝に通行注意」の赤きコーンもみぢ深まる山の辺の道 いつも見る「ワタシが日本に住む理由」教へてもらふこの国の良さ MLBのテレビ中継見終はりて次にチャネルを国会中継 プ…
宇宙にも初めと終り初茜 狗尾草(ゑのころ)や廃車のめぐりとり囲む 道の辺に思ひ出したり杜鵑草 けさカーテンに霜降の日差しかな 秋風の別れの声か楠の空 冬到来大樹の梢震はせて コロナ禍にまたも遠のく花見かな 家々の輝く丘や年あらた 撫で牛を撫でては…
即位式経てあらたまの令和かな 乗り込めるバスの座席に日脚伸ぶ 枯葉ちる手づくりパンの店先に こも巻きの松を見下ろす天守閣 ふたつ垂れひとつ落ちたり烏瓜 収穫をことほがごと藁ぼつち 清水や花さく友禅着てあるく 掘り出だす蓮根積みて壁なせり 風寒しベ…
はるかなる夕陽手前のからす瓜 ひさかきのはるか上なる銀杏かな 蜘蛛の囲の主人おどろく落葉かな ささがにのねむりをさます落葉かな あらたまの元号待つやあきつ島 自転車をおほかた隠す花八つ手 鉄砲宿さくら並木の東海道 窓外に干し柿を見る湯宿かな 銭洗…
こゑ遠きつくつく法師円位堂 大山を望みてはるか稲架の朝 銀杏を炒る音高し鶴ケ丘 抹茶待つ小春日和の開基廟 木の間より枯葉ちりくるつづら折り 息切れて座る山路のもみぢかな 笹鳴きの声より近き姿かな いただきて夫婦涙す年賀状 息切れて座る山路のもみぢ…
あらためて過去振り返る古希の春 カーテンに猫がとびつく秋の風 墓ならべ藤村夫妻蝉しぐれ 頭に触れて風鈴鳴りぬ鴫立庵 米ぶくろ抱へて急ぐ秋の雨 観賞にたへて糸瓜の垂れさがる 鳩来り積める落葉を掻きちらす 大輪の黄なるダリアに満ち足りぬ 他愛無き言葉…
秋風に延寿の鐘を撞きにけり 豊作や竹ロケットを打つ秩父 子供らが案山子を笑ふ畦の道 息切れて琵琶の阿弥陀寺もみぢ狩 見つむればふくら雀が首かしぐ 菜の花や路傍に夢のあるごとく 江ノ電や七里ケ浜に風光る 鎌倉や春日をこばむ牢格子 犬猫の慰霊碑かこみ…
ぎんなんを踏みて近づく力石 落葉掻終へたる庭の力石 帰りには大山豆腐紅葉狩 手前には火の見櫓や雪の富士 極月の客をくどくや人力車 園児らがあそぶ山頂花の雲 風待ちて凧の休めるたんぼかな 初春や蛸せんべいに人並ぶ 立春のひかりまぶしむ朝寝坊 山ふたつ…
団栗の落下に怯む山路かな 天高しはるかに望む古戦場 電線を撓めて並ぶ稲雀 のり出して道に種吐く柘榴かな 泣きながら冬の橋くる勤め人 口に手にあまるめでたさ恵方巻 老犬が老人を牽く花の下 集まりてにこにこ笑ふすみれかな そのかみの村は湖底に山桜 飼ひ…
秋まつり大道芸も島に来て 実柘榴に怒りの顔のありにけり ジャンパーの袖に執着ゐのこづち 小吉の御神籤むすぶ紅葉かな 落柿舎の庭ひびかせて鹿威し 懸崖の真白き菊や天守閣 ひこばえや村社にふたつ力石 笹子鳴く道の右藪左藪 しきしまの大和は柿と青空と 掃…
子らの絵や遊行通りの盆提灯 ゆく雲の影にくもれる稲田かな 鎌倉に風の声聞く萩の門 退職の身に新春の面映ゆき 稲穂垂れ東西南北威銃 ヤナップもカービィもゐる案山子かな 糸瓜忌や墓碑に没年月日なく 日蓮のをどる筆跡水の秋 凍蝶が日に羽根ひらく元使塚 大…
彼岸花ひと夜ふた夜に茎伸びて 鵙啼いてはやなつかしき空の色 朝顔や藤村旧居の門を入る 大楠の精もらひたる御慶かな 魚跳ねて川面裂きたり炎天下 夏逝くや帆綱帆柱鳴りやまず 糸瓜忌や二百安打へあと七本 稲架あまた立ちたる谷戸の水車かな おしろいや松の…
楽湧き来山のふもとの運動会 猫柳黒田清輝の湖畔なる 実ざくろの笑ひひろがる梢かな 干柿の影のつらなる障子かな 門前の日曜画家や石蕗の花 蜘蛛の囲の虫の亡骸日に揺るる 山門の燈籠かげる紅葉かな 首筋に剃刀当つる冬隣 漂泊の雲ひとつゆく冬隣 うち寄する…
蟷螂の幼きが斧ふりあぐる 秋風や「寂」一文字の谷戸の墓 釣れざればねころぶまでよ花芒 もみづりのはじまる富士の裾野かな 弟にライダーの面七五三 大寺の甍を濡らすもみぢかな 竹林に朝日射しくる焚火かな 小春日の卵はこび来円覚寺 目の澄める子を褒む老…
鳴くほどに身の透きとほる法師蝉 三頭の乳牛を飼ふ曼珠沙華 ぎんなんのおもたく落ちて地にほふ さまざまの身なりにならぶ案山子かな 初春の光の海の片帆かな 石榴垂る人間魚雷の残骸に 地に落ちてつぼむ花なり酔芙蓉 穂芒やSLを待つカメラマン 丹沢の山並…
川沿ひに滝を目指せる紅葉かな 笹子啼く実朝政子墓の前 秋雨や大樹を小鳥棲みわけて 蟷螂の若きが泳ぐにはたづみ 秋風の釣果を競ふ魚拓かな 日の丸の風に散り交ふ銀杏かな 冬きたる広場に消防音楽隊 居眠るや電車の床の冬日差 里山の日の斑にひろふ木の実か…
滝口の見えざる山のもみぢかな ヘリコプター秋の朝日を侵したり もみぢ(五句) 白菊に絹のひかりのありにけり 白鳩のむつめるさくらもみぢかな 池の面の落葉分けゆく背鰭かな 焼き芋の声昼時のオフィス街 銀杏ちつて足裏にやさし九段坂 石仏の首みんなとれ…
ぎんなんを残らず拾ふ神明宮 山門に帽子忘れてしぐれけり 赤々と熟柿くづるる谷戸の雨 秋の日の大名行列うらがなし 石塊に魂一字菊香る 草むらに飛び込むつぶて笹子かな 臨済宗大本山のもみぢかな 撫で牛の石まろまろと落葉かな 椎茸のほだ木あたらし赤まん…
大仏の背に開く窓や雪螢 落葉踏みめぐる前方後円墳 ラジオ点け鋏鳴らせり蜜柑山 里山にこぼれむばかり小鳥来る 雲が来る木の天辺の木守柿 大皿に木の葉がたまる蚤の市 宝物の風入れの日や笹子鳴く 名のみなる蛭ヶ小島や稲の波 修善寺は死への入口杜鵙草 山霧…
古城趾に百舌鳥の高啼く岬かな ひよどりの群るる歓喜の一樹かな 晩秋の谷戸勤行の太鼓かな 秋の鳶観艦式をうべなへり 鯔飛ぶや潜水艦の黒き背 早ばやとボジョレーヌーボー届きけり 年の瀬や護摩焚く僧に炎立つ 項垂れて流鏑馬戻る秋の雨 関跡や従二位の杉に…
途切れたる鉄路の先の枯野かな 秋雨やからくり時計待てば鳴る 猿島に砲台ありき石蕗の花 秋風の鼻黒稲荷大明神 妹の髪にコスモス姉が挿し キュキュキュキュと白菜笑ふ小川かな 人形に別れ告げたり暮の秋 蟋蟀がぢつと見てゐるデスマスク 朝寒や母の手の甲頬…
小賀玉の一樹が下の七五三 うつむくも秋思許さぬぬかる道 百舌鳥猛る小学校の昼餉時 なつかしき色積まれけり落葉掻 江ノ電や花火の海へ切符買ふ 綿虫やまた遠ざかる夢ひとつ 湯豆腐と聞きて禁酒の心失せ 湖に黒き山影浮寝鳥 賑はしや社の屋根に木の実降る 静…
高射砲据ゑしとふ山笹子鳴く 隧道の暗き口開く山紅葉 木枯の北京の夜の白酒かな 笹鳴や神雷戦士碑の静寂 初鴨の足裏清しき水沫かな 校庭に白線引けり秋の暮 背丈越す芒のはざま星ひとつ コスモスの揺るるに暗さ見えにけり 藤袴合掌造を開け放ち 花すすき雲動…
水音の高き湿原沢桔梗 くれなゐはネパール産や蕎麦の花 それぞれの羅漢にとまる赤とんぼ 龍胆に今宵ワインと決めにけり 色変へぬ松高々と鴫立庵 掛軸の達磨が睨む梅擬 菊日和大名行列動き出す 投げ交はす毛槍箱根の菊日和 しぐるるや神籤結べるねがひ垣 レグ…
空を嗅ぐ犬を放てり猟解禁 酒蔵の塀のまぶしき小春かな 波音や島の屋台の温め酒 藤の実や子育話つきぬらし 柿囓る音に驚くベンチかな 風を嗅ぐ白き子犬や庭の秋 冬来ぬとぬるでかへるでささめくも 黙深き樫あらかしの小春かな 断崖のウミウ動かず冬日差し 確…
退院の日を問うてをり木の葉髪 星月夜天狗松から話し声 ばつた見る犬の尻尾のピンと立ち ポリバケツこぼれて跳ぬる鰯かな 黒たまご大湧谷に霧深し ひややかや国宝庫裡に黒き釜 瀬音澄む足柄古道秋薊 初雁やビル屋上の露天風呂 ベイブリッジ閃光放つ時雨かな …
客待ちのタクシー涼むプラタナス 鵠沼の五月の黒き浚渫船 蚊に刺され鴫立庵の投句箱 声かけて案山子と識りぬ山の畑 酒提げてしばし佇む花野かな 腹這ひて初波乗りの沖に出づ 子を膝にのせて電車の花野行 帽子とり秋立つ風を招きけり 伝へてよ津軽の里の虫送…
公園の黒き機関車冬ざるる 水涸れや小便小僧のやるせなく 反射炉は江戸の昔よ稲雀 隕石や出雲の冬をつきぬけて 鶏頭の燃えたつ里に下山せり 腕組みて秋の夕陽の男かな 野仏や首にかけたる烏瓜 枯葉散る修道院の塀高き 狛犬の頬かむりしてむき合へり 林立の帆…
濁流の吊橋渡る日傘かな 鮎掛けてたもに引抜く早瀬かな 彼岸花枯れて現はる鬼女の相 赤牛の人恋ふる秋草千里 コスモスや自閉の心を野に放て 月の道己が影追ふ少女かな 荒波やおでん屋台を囲みをり 青鷺の抜き足差し足潮溜り ふくろふの目つむりて聞く木々の…
寒雲の燃えてなにやら力湧く 銃一声野兎かけのぼる斜面かな 自転車の白菜一つ揺られゆく 入院の日を知らせくる冬の空 青海苔を刈る浦波の朝日影 凍てつくを青アセチレン鉄を断つ 蓮枯れて鴨の航跡あらたなる 付き添へば点滴の音夜半の冬 黒猫や合掌造りの春…