天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ウ科の鳥の総称で、約30種が世界に分布する。わが国には、ウミウ、カワウ、ヒメウ、チシマガラスの4種が棲む。ヨーロッパでは、鵜は「大食」「虚栄」といった象徴になるらしい。わが国では、万葉集の頃から歌に詠まれているが、このような象徴性はない。 …

三好達治の小田原旧居

生涯の一時期を小田原に居を構えた小説家や詩人は、意外と多い。詩集の『測量船』、『草千里』、『駱駝の瘤にまたがって』などで知られる三好達治もそのひとりである。坂口安吾もすぐ近くに住んでいたらしい。 三好達治は大阪市に生まれた。室生犀星や萩原朔…

小田原の紅葉

春、桜の時期に紹介した西海子小路(さいかちこうぢ)は、小田原文学館の横を一直線に通っている。名前の由来は、この通りにサイカチの木が立っていたことにあるという。江戸時代末期に中級の家臣の武家屋敷が十八軒、道の両側に並んでいた。 黒松に鱗ありけり…

紅葉の季節

多分よく知られていることだが、辞書類を見ると、次のような解説がある。 「もみじ」は、万葉の上代には、「もみち」清音であった。濁音になったのは、平安時代以降である。漢字を当てる場合、万葉時代は「黄葉」、平安時代から「紅葉」が主流。 和歌につい…

目玉風船

今日は失敗談を。 11月の短歌人・東京歌会は、上野文化会館で開催された。わが詠草は次の歌。 葉の落ちて実のあらはなる柿の木に主人が掛けし目玉風船 意見は当然、四句「主人が掛けし」に集中した。言わずもがな、ということである。 実はもとの歌は、 葉…

皇帝ダリア

最近夏以降、この花をよく見かける。大磯の湘南平の裏、大楠山、小田原文学館や鎌倉文学館の庭などである。木立ダリアとも言って、高いものでは、丈が3mから5mまでになるという。もともとダリアはメキシコ産のキク科の多年草で、わが国には、1842年…

泉 鏡花の俳句

泉 鏡花は、生地の石川県から明治23年に上京、尾崎紅葉のところに玄関番として3年間寄宿しながら、紅葉に師事した小説家である。「高野聖」や「婦系図」は、特に有名。師匠の紅葉は俳句でも、紫吟社を立てて活動したが、鏡花もそこに所属して俳句にも精進…

竹、竹林

竹はイネ科の木質多年生。孟宗竹、真竹、呉竹、黒竹などがある。細くてしなやかな竹は弱竹(なよたけ)という。竹林は、たかむらともいう。竹の生育過程を見て、俳句では、「竹の春」というと秋の季語、「竹の秋」は春の季語になっている。 あたらしく冬きたり…

衣笠山公園

大楠山の山容は定かでない、と昨日紹介したが、別の角度から見たらどうかと思って、横須賀市の衣笠公園展望台に行ってみた。間の悪いことに、展望台は修理中で登れなかった。なんとか林の間をぬって撮った写真が昨日のものである。ついでなので、衣笠公園を…

大楠山

三浦半島で最高峰、といっても横須賀市に属する標高242メートルの小高い山。独立峰ではないので、山容は定かでない。山頂近くにはNTTの無線中継所やレーダ雨量観測所がある。JR逗子駅から衣笠行きのバスに乗って、大楠山登山口で下車、そこから阿部…

カラスウリ

ウリ科の多年生つる草で雌雄異株。本州から九州、東アジアの山野にはえる。古くは、形が結び文に似ているところから玉章(たまずさ)の名前があった。 秋風をわづかに染めぬ烏瓜 原 石鼎 烏瓜朱なり水ゆく無明かな 加藤楸邨 此のものもたつた一人の詩を書く…

マスク

新型インフルエンザが流行し始めて、マスクが店頭から消えるほどの売れ行きである。従来ほとんど見かけなかった外国でも、マスクをかけている人が多くなった。今朝の新聞によると、ウィルスカット99%以上とかの誇大広告が多く、消費者庁がメーカーに注意…

ウサギ

ウサギ目ウサギ科の総称で種類が多い。大きく、ノウサギ類とアナウサギ類に分ける。肉用、毛用、毛皮用、兼用、愛玩用などの分類も可能。日本白色種は、毛皮と肉との兼用。古くはオーストラリア、マダガスカルを除く全世界に分布していた。 冬の田に兎追ひ落…

磨崖仏

岩壁に彫った仏像のことである。インドのアジャンター石窟、中国では、四百年かけて彫った黄河のほとりの龍門石窟 など仏教圏には大がかりなものがいくつかある。日本でも臼杵磨崖仏を代表として、各地に点在する。 ここでは、横須賀市鷹取山の小さな磨崖仏…

ピーマン

唐辛子のうち甘味種大果系のもの。カロチン、ビタミンCを多く含む。緑色から熟れて赤い色に変わる。ピーマンは、唐辛子のフランス語のpimentに由来。 なすとまとぴーまんばれいしょ野菜にも浮沈あること われはたのしむ 入野早代子 未来とはたとえば…

唐辛子

香辛料として普及している。ナス科一年草で熱帯アメリカ原産。コロンブスがヨーロッパに伝え、日本には16世紀に伝来した。鷹の爪とも呼んだ。辛味成分カプサイシンの含有量の多少により、辛味種と甘味種とに分かれる。葉にも辛味があり、葉トウガラシとし…

谷の歌

渓 とも表記するが、和歌に詠まれた例では、渓谷(たにま)、深谷(みたに)、くら谷、谷の戸、谷間 などとしても出て来る。四国、関西、関東、みちのく などの山野を歩いた西行法師は、谷をかなり多く詠んでいる。『山家集』には二十六首ある。現代歌人では…

杉田久女

遅まきながら坂本宮尾著『杉田久女』を読み終えた。調査に十年、執筆に三年を要した力作である。俳人協会評論賞を受賞している。 ホトトギス同人除名、高浜虚子の序文が得られず生前の句集出版の望みが絶たれる、晩年は精神病院 など、杉田久女は女流俳人と…

ナナカマド

七竃。山地に見かけるバラ科の落葉高木。5月から7月の白色五弁の小花が咲く。10、11月になると、実は真赤に熟して群れ垂れ下がる。冬枯れの山を鮮やかに彩る。 噴煙の空迫り来つななかまど 水原秋桜子 雪岳が並びをり実のななかまど 和知喜八 山松のあ…

強羅公園の茂吉歌碑

斉藤茂吉は、昭和10年以降ほぼ三十年間、夏になると箱根の強羅の山荘に暑を避けた。箱根を詠んだ歌は、千二百首を越えるらしい。なおこの山荘・童馬山房は、郷里の山形県上山市金瓶の斉藤茂吉記念館内に、昭和54年に移築されている。 おのづから寂しくも…

錦秋の箱根

期待して強羅に一泊した。全山紅葉とはいかなかったが、そこここに赤や黄の樹木を見ることができた。前日は、御殿場市神山にある時之栖美術館に行って前島秀章氏の彫刻を見て廻った。うらやましかったのは、楠の大木など木材が豊富に入手できる環境にあるこ…

野紺菊

キク科の多年草で野菊の一種。本州から九州の山野に、8月から11月にかけて、淡青紫色の舌状花と中心に黄色の筒状花を開く。彼岸花のような派手な花が枯れ果てた後の山野に清楚に咲いている。 野紺菊殖ゆるを疎み抜きたるに思はずも咲く 三四年経て 佐藤志…

ツリフネソウ

谷間の湿地にはえるツリフネソウ科の一年草。わが国では、北海道から九州まで、また東アジアに分布する。帆掛け舟の形に見える花を細い柄の先に吊り下げているところに名前の由来がある。 すでに花の時期を過ぎていたと思っていたが、たまたま鎌倉山の谷間で…

棟方板画美術館

鎌倉市鎌倉山二丁目19―17。以前にも訪れたのだが、NHKハイビジョン「巨人たちの肖像」を見て刺激され、あらためて行ってきた。華厳譜、釈迦十大弟子、大世界の柵、涌然する女者達々、龍原頌、砂山の柵、厖濃の柵、迫開心経頌 などが展示されていた。…

竜胆(りんどう)

リンドウ科リンドウ属の多年生植物。本州から九州の草原にはえる。高山帯に生育するオヤマリンドウは、やや小形で葉は白粉を帯びる。根は健胃剤になる。昔は、「りうたむ」とも言った。 竜胆の花とも人を見てしがなかれやははつる 霜がくれつつ 和泉式部 谷…

牡蠣(かき)

イタボガキ科の二枚貝の総称。単にマガキを指すことも。日本近海に、約25種類生息。なかでもマガキは古くから食用にされてきた。酢牡蠣、牡蠣鍋、牡蠣フライなどで食べる。冬が旬。牡蠣の養殖は、広島、宮城が盛んである。 以前外食する際には、もっぱら生…

日の斑(ふ)

鎌倉アルプス(なんと大げさな!)を縦走してきた。明月院の裏山から入って建長寺半僧坊上の勝上嶽、十王岩、鷲峰山、大平山、天園、天台山、胡桃山 など尾根道を歩いて、明王院へと下りた。山道や木立には、秋の朝日の木漏れ陽が斑点になって落ちていた。こ…

背高泡立草

この時期、川辺や野原に見かける背の高い金色の花である。北米原産。わが国には、明治に渡来。日本には、同類の秋の麒麟草がある。キク科の多年草。 休耕の田に咲きさかる泡立草すでに見馴れて 人怪しまず 長沢一作 いくさ戦の日に砲をつくりし廃屋をめぐり…

日向薬師

以前に、ここに参拝して眼病の治癒を祈った歌人・相模とその歌碑について紹介したが、ここには源頼朝も参拝している。その目的は、内々ながら、頼朝の長女(大姫)の病気快癒祈願であった。大姫は、父・頼朝が夫・義高を処刑したことから、心の病にかかって…

ペンギン

ペンギン科の鳥の総称。大きさが、40cmのコビトペンギンから1.2mのコウテイペンギンまで6属17種がいる。 日本脱出したし 皇帝ペンギンも皇帝ペンギン 飼育係りも 塚本邦雄 後ろ手に餌の順を待つペンギンのとさか冠毛吹かれて 寒き夕ぐれ 石本隆一…