天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

アメリカデイゴ

レッドソックスとホワイトソックスの試合で、松坂大輔が故障したベケットに替わって一日前倒しで先発した。BSテレビで一部始終を見た。8回まで無失点。ヒット2本、四死球2つ、7奪三振。8対0で勝利した。16勝目である。これは野茂秀雄と並ぶMLB…

鍬形

クワガタムシ科に属する甲虫の総称。熱帯雨林に多いが、日本にもミヤマクワガタ、コクワガタ、ノコギリクワガタなど40種ほどが生息するというから驚く。小学生の男の子が最も好きになる昆虫である。 季語に出てくる甲虫には、他に、カブトムシ(兜虫)、カ…

建長寺・半僧坊

鎌倉五山第一の建長寺は、『吾妻鏡』によれば、建長3年(1251年)から造営が始められ、同5年(1253年)に落慶供養が行われたとある。開山の蘭渓道隆は中国・宋末の禅僧。寛元4年(1246年)、33歳で来日した。筑紫、京都に住んだ後に鎌倉に入り、建長寺が創建…

女郎花

おみなえし、と読む。オミナエシ科の多年草で、秋の七草の一つ。名称の由来は、「粟ごはん」のことを「女飯」といっていたが、花が粟つぶのように黄色くつぶつぶしていることから 、「女飯」→「おみなめし」→「おみなえし」となった、という説がある。あるい…

現代口語短歌の完成

口語短歌の試みは、古く明治時代(例:青山霞村)以来ある。ただ、なかなか定着はせず、最近まで口語と文語の混合体が流通してきた。 今回、短歌研究賞を受賞した穂村弘の作品(「短歌研究」九月号に掲載)を読むと、やっと現代口語短歌が完成の域に達した感…

蛾を除く鱗翅目の総称で全世界には約13000種、日本には約240種いるという。種類は違うが、四季を通じて見かける。秋の蝶、冬の蝶などと詠まれる。万葉集では、二首の序文の中にでている。 百とせの花に宿りて過ごしてきこのよは蝶の夢 にぞありける …

戦中・食の歌

斎藤茂吉の食に関する歌に惹かれる。なかでも鰻の歌はつとに有名。今回は、太平洋戦争時に詠んだ食の歌を、歌集『小園』(短歌新聞社文庫版)から拾ってみる。この歌集には、昭和十八年から昭和二十一年までの歌、八百四十三首が収められている。うち、食に…

雲の峰

俳句では、夏の季語。傍題に入道雲、積乱雲、雷雲があるので分かりやすい。 雲の峰いくつ崩れて月の山 芭蕉 雲の峰風なき海を渡りけり 夏目漱石 芭蕉の句は、「奥の細道」月山での詠。漱石の句は、英国留学途上の詠。 今年の雲の峰の写真をとるべく、大磯の…

箱根・早雲寺

久しぶりに来てみた。以前にも紹介した部分があるが御容赦を。 この寺は、伊勢新九郎北條早雲の遺言により、1521年に息子の氏綱が建立したもの。皮肉にも、後に豊臣秀吉が小田原北條氏を攻める際に本陣としたところであり、石垣山の一夜城が完成するや火を放…

舟虫

(昨日から、二泊三日の予定で兵庫県三田市の山中にきている。研修センターがあるが、買い物など近くではできないので、横浜に住む身にとっては山中の気分である。この研修センターは売却されるので、今回が最後となる。試験の監督の合間をみて、ブログに入…

蝉(2)

日本にいる蝉は三十数種という。名前には、みんみん蝉、にいにい蝉、かなかな、つくつく法師のようにオノマトペから来ているものが多い。春蝉はまた松蝉ともいう。みんみん蝉は日本特産種。熊蝉は、日本のセミ類の中で最大のもので体長6.5センチ程度。空…

 蝉(1)

半翅目セミ科に属する昆虫の総称。全世界には約2000種が生息するという。うち日本には三十数種。万葉集にも新古今集にもそれぞれ六首程度が詠まれている。 晩蝉(ひぐらし)は時と鳴けども恋ふるにし 手弱女(たわやめ)われは時わかず泣く 万葉集 うつ…

かたつむり

蝸牛。広辞苑によれば、マイマイ目陸生有肺類巻貝の一群の総称とある。でんでんむし、ででむし、まいまい、まいまいつぶろ、エスカルゴ などの呼び名がある。女性歌人はかたつむりをよく歌にするようだ。わけても小島ゆかりに多い。彼女自身が「短歌」8月号…

短歌と詞書とのコラボ(5)

岡井隆の一連の最後は次のコラボ。 ふみづき七月や六日も常の夜には似ず (芭蕉) 賜はりしワインをあけむ七日には世界は「意味」と なりて輝く 芭蕉の句は、元禄二年(一六八九)四十六歳の作。七月六日夜、直江津の宿で土地の俳人と巻いた連句の発句である…

山門の酔芙蓉

暑気おさまらぬ曇天の下、流れる汗を拭き拭き、鎌倉のわが定番の吟行コースを歩いた。即ち、極楽寺、成就院、長谷寺、光則寺と歩いた。 雨あがる極楽寺門酔芙蓉 百日紅「高山樗牛ここに住む」 足首に薮蚊がとまる写経かな 鎌倉や大鉢に咲く大賀蓮 ひぐらしや…

大磯

JR大磯駅からバスに乗って、県立大磯城山公園に行った。何度か来ているが、夏は初めて。各種の草木があり名札がつけてあるが、花の時期でないので、木蔭の下を歩くのみ。公園内からは縄文時代の遺跡や横穴墓、鎌倉古道などの遺産が発見されている。明治の…

短歌と詞書とのコラボ(4)

「歌壇」8月号・岡井隆「夏越なごめど」の続きである。哲学者ウィトゲンシュタイン著『論理哲学論考』の命題とのコラボをどう理解するか? 「世界は様々な事実に分たれる。」 淡すぎるあぢさゐが咲きこのごろは人がよく死ぬ なかを咲きつぐ ウィトゲンシュ…

雨降山

現在は、大山の名で親しまれている。古来より山嶽神道の拠点であり、古くは大福山とも呼ばれていたらしい。相模灘を航行する船の目安になった。右の写真は、一月末に撮ったもの。大山阿夫利神社は、大山祗大神(オオヤマツミノカミ)、高オカミノ神(タカオ…

短歌と詞書とのコラボ(3)

ところで、先の凡兆の句は、よく知られているように俳諧七部集の内「猿蓑集 巻之五」」の歌仙冒頭である。 その次には、 あつしあつしと門々の声 (芭蕉) とつづく。岡井の一連では、これに対して 植ゑられるものを臓器と呼びたくはない いそなみ磯波の洗ふ…

短歌と詞書とのコラボ(2)

岡井の一連では、次に 月ぞしるべ此方へいらせ旅の宿 (芭蕉) 安全で落ち着いてゐる朝だけだ まつ直ぐな線が 部屋に来てゐる となっている。 発句は、寛文4年作で芭蕉21歳。 「佐夜中山集」にある。 ( 松江重頼編「佐夜中山集」に「松尾宗房」の名で次…

短歌と詞書とのコラボ(1)

詞書とは、短歌のはじめに付記して、短歌そのものの理解を助けたり、短歌の詩的効果を高めたりする言葉だが、岡井隆は詞書に俳句、短歌、詩、箴言 などを用いて両者の相乗効果を出す試みを精力的に続けている。 つい最近の例をあげよう。「歌壇」8月号に岡…

有鱗目ヘビ亜目に属する爬虫類の総称。変温性。卵生または卵胎生。温帯・熱帯に約2700種が分布。古名は、ながむし、くちなわ(朽縄)、かがち、へみ など。俳句では夏の季語。いにしえより、蛇は気味悪いもの・不吉なものと思われてきたので、和歌にはあ…

ぼんぼり祭

過去にも紹介したが、鎌倉鶴ヶ丘八幡宮のぼんぼり祭は昭和13年(1938年)に始められた。鎌倉近在の著名人に揮毫してもらった書画をぼんぼりにして、境内に立てる。今年は、8月6日から9日の四日間である。会社帰りに寄った。先ず、若宮大路に面したうな…

百日紅

ひゃくじつこう、さるすべりは、中国南部原産のミソハギ科の落葉高木。花の色の種類は豊富で、桃・紅・紅紫・白 などがある。右の写真は、三鷹市下連雀の太宰治旧居にあった百日紅で、太宰が愛でたもの。「おさん」という作品には “玄関前の百日紅は、ことし…

たたみいわし

義経が兄・頼朝から鎌倉に入ることを禁じられとどめ置かれた腰越のことは今までにも紹介した。義経・弁慶主従が宿泊したという満福寺には有名な腰越状の下書きがある。 また、腰越の釣宿が提供するしらす料理は人気があり、店先に待ち人の行列ができる。浜で…

夾竹桃

常緑低木のキョウチクトウはインド原産。中国を経て江戸・享保年間に長崎へ移入されたという。中国名の「夾竹桃」がそのまま使われている。強心薬、利尿薬に用いられた。ただ毒があり、牛馬でも葉を食べて死ぬことがあるというから恐ろしい。 夾竹桃の花を見…

沿岸警備

いつものように湘南海岸の沖には、大きな警備艇が一隻浮んでいた。江ノ島沖から密入国することがあるという話を以前聞いたことがあるが、まさかその監視ではあるまい。ヨットやカヌーなど海洋スポーツが盛んな湘南の事故に備えてのことであろう。念のためW…

「古志」八月号

「古志」八月号・長谷川櫂主宰の句には難解なものがある。三句を取り上げてみよう。 木もれ日やあるかとみえて半夏生 ★半夏生は、二十四節気のひとつを指す場合と 植物を指す場合とがある。中七の言い様では、 「ない」という言葉が後に省略されているようだ…

蓮の花(2)

蓮は熱帯アジア原産のスイレン科の多年生水生植物。種子は泥炭層で千年以上も発芽力を失わないという。その実例として、行田市の古代蓮、これは1400〜3000年前(古墳時代)の蓮と言われている。また今から2000年前の弥生時代後期のものと推定された大賀ハス…

蓮の花(1)

蓮の花が咲く時期になったので、鎌倉・鶴ヶ丘八幡宮に行った。源平池には蓮が一面に生い茂っている。莟あり、はや花弁が散って実を結んでいるものあり。平氏池には、白い花ばかり。源氏池にはうすくれなゐの花と白い花とが混じって咲いている。色の配合から…