天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

前衛短歌と高瀬一誌

「短歌人」十一月号で、高瀬一誌作品研究を特集している。実は、高瀬調と呼ばれる構文は、前衛短歌に刺激されて生れたのではないかと、以前から疑問に思っていた。この辺の事情はこの特集では全く触れられていないので、歌集の年代について塚本邦雄と比べて…

ほととぎす

初めて見たときは、奇妙な花、気味悪い花と思ったものである。漢字では、杜鵑草、時鳥草 と書く。ユリ科の多年草。百合の花を小さくしたような形で、濃紫の斑点が鳥の杜鵑の胸毛の斑点に似ているところから、この名が付いた。植生は、関東以北から九州にかけ…

助詞の用法その他

先週の金曜日は、兵庫県の三田に出張し、その機会を利用して翌土曜日は箕面に遊んだが、出張に際して、持って行く読み物に困ることがある。今回は本棚に挟んであった角川「短歌」2000年5月号別冊付録の「夏の歌を楽しむ」を持って出かけた。かなり古い…

箕面に遊ぶ

金曜の夜は箕面観光ホテルに泊まった。夕食は、箕面駅前の蕎麦屋に入って「きのこそば」と「山菜ばら寿し」で済ませた。翌日は、箕面公園の奥の滝に向う。川沿いの道を素直にたどればよかったのだが、山道に入ったためとんでもない方向へ迷いそうになった。 …

何を期待するか

短歌に何を期待するか、という質問に対して、読者、歌人それぞれに答があるはず。一般の読者は、多分、「癒し」という答が一番多いであろう。対して専門歌人は、新しい表現による抒情あるいは社会批評などと答えるであろう。特に最近の現代短歌は、批評性を…

『虚数の情緒』

まことに面白くて為になる本を、会社の席で読み終えた。 吉田 武著『虚数の情緒』―中学生からの全方位独学法―、東海大学出版会、定価=4300円+税である。会社なので、仕事の空いたわずかな時間を見計らって読んだため、ほぼ一年かかった。 数学を中心に、野…

CDクラブ

毎月、自分の選んだコースのCDを配達してくれるクラブに入った。NHK教育テレビ番組の中の古典講座を中心に再編集した「古典コース」のCDを購入してパソコンで楽しんでいる。今までに、「源氏物語」「平家物語」「古事記」「徒然草」「歎異抄」「お伽草紙」な…

時事詠の弱さ

童話のような名前の山に金網が濡れ居り深夜のテレビの中に *この歌のどこがよいのか? 童話のような名前の山と言われ たっていくつもあるだろうに。山頂に送電設備なりTV中継局 なりがあれば、金網が張ってある山は、珍しくもない。 しかもそれがテレビの…

自由律俳句

小林恭二が雑誌「俳句研究」で連載している「恭二歳時記」を毎号楽しみに読んでいる。今月は、自由律俳句の名手である荻原井泉水と種田山頭火の作品を鑑賞している。両者の対比のところが大変興味深い。初めに作品例を二句ずつ並べる。 空をあゆむ朗朗と月ひ…

境川

特定の河川が有名になるには、それを取り入れた小説なり映画なり詩歌が有名になることが条件になる。例えば、神田川のように。最上川のような大河でさえ、芭蕉や茂吉の短歌によって名声を獲得した面がある。あるいは、愛嬌あるゴマフアザラシが棲みついてテ…

石蕗の花

腰越、小動(こゆるぎ)、七里ガ浜を歩いた。鎌倉には日蓮宗の寺が多く、日蓮の伝説をふまえた事物が残されている。今日はじめて出会ったのは、別の「ぼたもち寺」。一般には、大町にある常栄寺が「ぼたもち寺」として有名であるが、日蓮の処刑場と言われて…

中七の切字「や」

元禄期の古俳句構造の典型のひとつに、中七に切字「や」を使うパターンがある。柴田宵曲『古句を観る』にも初句の切字「や」についで頻出する。 菜の花のふかみ見するや風移り 菜畠に藪の曇りや雉子の声 江戸留守の枕刀やおぼろ月 踏みなほす新木の弓やはる…

塚本邦雄・男の歌

塚本邦雄の全歌集を読んで気づくことは、いくつもの切口があって、それぞれについて面白い評論が書けそうに思えることである。聖書、馬、犬、山川呉服店 ・・・・等々。但し、聖書に関わる歌を論じるには、聖書の内容について相当深い理解を必要とする。 「…

菊の季節である。靖国神社境内では、秋の例大祭向けに菊花展が開かれている。 大輪の黄菊白菊奉納す「富士の輝き」「東海の真」 百科事典によると、中国に自生するチョウセンノギクとシマカンギクとの交雑に由来し、日本には奈良時代に渡来したという。菊の…

切れ+「〜かな」

一昨日は短歌の独立した結句の解釈について話したが、俳句にも同様の課題がある。その典型が今回の話題である。即ち、切れ+「〜かな」の構造で結句の座五が独立している場合である。 俳句において座五の「かな」は強い切れになり、通常は 野ざらしを心に風…

主語の有り様

一般に日本語では、主語をあからさまにしないことが普通に行われる。短歌では主語が書かれていないときには、作者を想定するのは常識である。 鍔広き少女の帽子かむる日に信濃の山羊の紙のごとしも 「子午線の繭」 *帽子をかむるのは作者と考える。にしても…

独立した結句

俳句は言うに及ばず短歌でも、取り合わせあるいはモンタージュは主要な詩的技法なので、頻繁に使われるが、二物間の関係に想像が及ばない時、解釈に行き詰まることがある。独立した結句の場合につき、前登志夫の例を見てみる。 くちあけてみな眠る夜に小石ふ…

前登志夫歌集

短歌研究文庫『前登志夫歌集』を読み終えた。ここには、「子午線の繭」「霊異記」「縄文紀」「樹下集」「鳥獣虫魚」「青童子」「流転」「鳥総立」までを含んでいるが、完本は「青童子」のみで、他は全て抄である。これから何回かにわたって前登志夫の歌を例…

出張

出張につき12日と13日を休眠します。

虎御前

大磯は虎御前ゆかりの地である。長者の娘に生まれて「虎」というすさまじい名前をつけられた美少女は、曾我兄弟の兄と恋仲になった。だが周知のとおり兄弟は、建久4年(1193)5月28日、巻狩開催中の富士の裾野で、仇討を果たした後に惨殺された。こ…

核実験

昨日は、野球中継観戦と北朝鮮の核実験実施のニュースを見ることで暮れた。今日の靖国神社周辺では、街宣車がいっとき騒いでいただけで特に普段と変わったところはなかった。以前にも書いたが、現在の北朝鮮の状況は、わが国が第二次大戦に突入する前夜に酷…

石榴

午後二時からパリーグのプレイオフ、第一ステージの西武ライオンズ対ソフトバンク最終決戦があるので、遠出はできない。トイザラスに行き、お土産の本と小さなおもちゃを買い、藤沢駅に戻って明日の湘南ライナー券を購入したあと、新林公園を歩いた。古民家…

地引網

今日は久しぶりにからりと晴れて暑いほどの日差しになった。連休なのでどこに行っても混雑するはず。真鶴岬に行こうかと電車にのったが、思い直して隣の辻堂で下車、湘南海岸を藤沢方向に歩いた。海岸沿いの舗装道路は、ジョギング、自転車、ローラースケー…

称名寺

京急・金沢文庫駅に下りて称名寺門前にたどりつくのに、余計な道を歩いてしまった。何度もきたことがあるのに、ご無沙汰していると最短の道筋を忘れてしまう。横浜市金沢区にある真言律宗の称名寺は、金沢山、稲荷山、日向山という三つの小山が出会う谷戸に…

古句の言い回し(1)

俳句の元になった江戸時代の俳諧の発句に興味がある。それで『江戸俳諧にしひがし』に続いて、柴田宵曲という人の『古句を観る』(岩波文庫)を購入して読んでいる。元禄期の有名でない俳人達の佳句を取り出して鑑賞している本である。新年、春、夏、秋、冬 …

ブタクサ

土手や空き地に鮮やかな黄色の花が目立ち始めた。帰化植物のセイタカアワダチソウの花である。この植物と紛らわしいものにブタクサがある。実物を比較すれば一目瞭然なのだが、次のように項目を見ると取り違いやすい。どちらも北米原産の帰化植物でキク科。…

酔芙蓉

先の日曜日の昼前、円覚寺で時間を過ごした際に見かけた酔芙蓉について、関連したことを書いておきたい。芙蓉は中国原産の葵科の落葉低木。その園芸種として酔芙蓉が出来た。花の色が朝は白、午後は淡紅、夕方から紅色に変化する。ここが名前の由来である。…

結句の音韻分析

角川「短歌」で、小池 光の「短歌人物誌」が連載されている。哲学者、作家などの人物を詠いこんだ短歌を観賞する面白い企画。歌に出てくる人物とその時代的背景を調べつつ、歌を鑑賞する。場合によっては、歌の作者の思い違いまでを指摘している。小池の文章…

十月になった

雨上がりの昼休み、靖国神社社頭に今月の遺言パンフレットを貰いにいった。冒頭に、昭和天皇の御製がのっている。昭和35年宮中歌会初めのお題「光」として さしのぼる 朝日の光 へだてなく 世を照らさむぞ わがねがひなる 遺言の主は、昭和二十年八月に宮…

朝顔

明日の湘南ライナー券を藤沢に買いにでかけたついでに、江ノ島を散歩した。頻繁にきているので見慣れたものばかりだが、今日はふたつの発見をした。 先ずは、朝顔。どこが発見なのか?通常は家の垣根に植えたものであったり、観賞用のものであったりする。洗…