天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紫苑

紫苑

 今日は午後一時から短歌人・横浜歌会。例によって昼前の時間を円覚寺で過ごす。松嶺院が開いていたので、百円払って庭に入った。あちこちに萩が咲いている。見て歩いているうちに気づいたのだが、いろいろな種類がある。みやぎの萩、あすかの萩、赤花萩、光悦寺萩、江戸しぼり萩、雲南萩、まるば萩など。こんなに種類があるとは今まで全く知らなかった。それで家に帰ってから辞書を見た。他に山萩、毛萩、錦萩、筑紫萩などがでてきた。原種の山萩や毛萩から他の園芸種が生まれたらしい。
 庭の中で一番鮮やかに見えたのは、紫苑である。これについても調べてみた。切花としても鑑賞するが、古く平安時代から栽培されているらしい。紫苑とはなんとも洒落た名前であり表記であるが、漢名ではない。シオニともいう。
     淋しさを猶も紫苑ののびるなり   正岡子規
  ささやきを伴ふごとくふる日ざし遠き紫苑をかがやかしをり
                      相良 宏


     はかなさの十月桜墓地巡る
     コスモスや空手に先手なしといふ
     緑青の屋根おもき谷戸鵙猛る
     断崖に四角き洞や秋桜
     若僧が座布団はこぶ酔芙蓉


  方丈の垣根を越えてどつと垂るおどろおどろしみやぎの萩は
  腰つよく花のおもさに耐へてをりどこか明るきあすかの萩は