天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

薔薇と軍港(2)

米海軍戦艦

 ヴェルニー公園は、JR横須賀線横須賀駅を出てすぐの海沿いにある。江戸末期、横須賀に製鉄所を作ったフランス人技師ヴェルニーと推進役の小栗上野介忠順の胸像が並べてあり、薔薇が栽培されている。公園の向かいには海域を挟んでアメリカ海軍に貸与している基地があり、明治期に作られた大きなドライ・ドックが今も艦船の修理に活用されているという。
(注)ドライ・ドックは、石で作った長方形の掘割で、船を入れた後、閘門を閉じて排水する。工事用のクレーン、ウィンチ、電力などの設備がついている。


      戦艦の艫(とも)をかすめて都鳥
      赤錆の鉄路に沿へる枯葎


  いつも見る潜水艦を今日は見ずいづこの海に潜れるならむ
  船積を待ちて並べる自動車の白きあり黒きあり原油高騰
  NISSANの小型トラック白々と船積を待つカモメ鳴く海
  浦賀沖海阪越えて次々に小島のごときタンカーがゆく
  横須賀の米軍基地に急を告げ赤色灯の車走れり
  塔立てる小山の地下に要塞のあるやも知れず横須賀軍港
  蝋燭の蝋をとるとふ実がなれりナンキンハゼの木の葉いろづく