天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

さざえ

初島にて

 リュウテンサザエ科の巻貝。角がでてくるものは、外海に棲む種類であり、内海に棲むものは角がないという。手軽でもっとも一般的な食べ方は、壷焼き。春の季語であるが、何故なのか、よくわからない。雛祭に供え物として欠かせなかった、というところからであろうか。


      己煮る壺を立てたる栄螺かな    百合山羽公
      夜は泳ぐ栄螺ときくにあはれなり  山田箕好


  ちかよりて吾がみつつゐる舗道には昼光差し栄螺を売りぬ
                       岡部文夫
  栄螺のはらわたの濃むらさきとことはに日本の敗戦を祝はむ
                       塚本邦雄