かつて猿楽の能と呼ばれ、猿楽に鎌倉時代の歌謡・舞曲の要素が加わったものとされる。観阿弥・世阿弥父子が先行する諸芸能の長所を取り入れて将軍足利義満の保護のもと、能を芸術的に大成したとされる。
早笛に吹かれて今し歩む床かうかうたりわれに偽りはなし
馬場あき子
〈橋懸(はしがかり)〉より去りてゆくものの羨(とも)しさは
そのはしがかり在るといふこと 斎藤 史
足拍子ひたに踏みをり生きかはり死にかはりわれとなる
ものを踏む 水原紫苑
めらめらと翁が舞へる銀袖を火が揺らしつつ鼓急なり
大滝貞一
目差(まなざし)を遠くはるかに清経を舞へば波音の聞こ
ゆるごとし 安田恭子