天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

辞書

日本語大辞典(講談社)

 広辞苑によると、辞書とは、言葉や漢字を集め、一定の順序に並べてその読み方・意味・語源・用例などを解説した書。辞典。


  辞書一冊わが手に遺し南海へ征くと書き来て君の帰らず
                   山本かね子
  笑うとも喜ぶともありわが作る方言辞典の腐るの項には
                    大島史洋
  簡体字を目のあたりにする感動が辞書屋二十五年の身に
  沁みわたる             大島史洋


  三無主義また四無主義なつかしく辞書に載る頃はや奇異
  とせず               大島史洋


  厚き辞書閉じるとき生き物の胴が震えるごとき感じす
                    石井利明
  辞書引くは旅ゆくこころたづねたる果てに出会ひし秋の
  和語なり              玉井慶子


  おまへのなかに一冊のあつい辞書があり未知の言葉を
  さがせとさそふ           矢部雅之


  リーダーになるのが男の幸せという価値観の命名事典
                    俵 万智
  辞書引くに夫の机を借りており南の窓の椿あかりに
                    鎌田弘子
  外来語辞典買ひ来ぬカタカナの洪水のごとき歌誌
  読まむため             佐藤祐禎