天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

河豚(ふぐ)

NHK新日本紀行「ふぐ」より

 フグ科とその近縁種の総称。温熱帯の海の沿岸部に生息する。瞼がある。30種くらいいる。日本に多いクサフグは砂地に棲む。下関のトラフグは食用で知られる。胆や卵巣にテトロドトキシンという悪名高い毒がある。


     月星の相触るる夜の河豚づくし   能村登四郎
     河豚を食べ過ぎたる人の顔となる  後藤比奈夫
     河豚食ひし顔を中洲の橋の上     有馬朗人


  河豚よ河豚よ汝は愚かし地に跳ねて沖津玉藻の香の
  なげきする              北原白秋


  河豚くうて命死なまし海棠の紅さめざめと雨七日ふる
                     太田水穂
  板の上に干したる河豚の鰭にほふ赤間の町の昼しづかなり
                     中西輝麿
  閉づるなき魚の眼か目を閉ぢて眠れる河豚は異端者ならむ
                     浜口美知子