最も分り易い現代日本の英雄
イチローがついに日米通算で世界最多安打を達成した。日米通算という点に、賛同しない人達は多い。MLBだけで最多安打を達成したピート・ローズが、典型的である。この状況はよく理解できる。しかし、イチローが英雄であるのは、今回の世界最多安打達成だけではなく、今までに日本プロ野球(NPB)およびメイジャーリーグ・ベースボール(MLB)それぞれで達成した前人未踏の記録にある。またその過程で心身ともに健全な状態を維持し続けた強靭な意志と行動力にある。
「最も分り易い」というのは、小学生から退職して働けなくなった老人に到るまで、男女に関係なく、野球が体験できるし見て楽しめるからである。ノーベル賞受賞どころではない。学校でも会社でも居酒屋でも家庭でも、この話題でもちきりであろう。外国人がどうであれ、今回の快挙は、日本人すべてに元気と勇気と誇りを与えたことは確かである。
イチローにヒット出づれば機嫌よく焼酎の杯かさねて眠る
日米通算ながら世界の最多安打二塁打にして達成したり
イチローは二塁ベースに帽子とり大歓声にあいさつ返す
渡米して十六年目のMLB3000本まであと21
世界最多安打記録の達成はプロ入り二十五年目にして
目標を語れば皆にバカにされその悔しさを力となせり
記者会見でイチローが語った言葉で印象深かったのは、日本のプロ野球だけで今回の世界最多安打数を達成することは不可能ではないか、誰かやってほしい、ということであった。(現在のタイトルホルダーは、張本勲で3085本。プロ在籍22年間の記録である。)
[追伸]二日後の試合が始まる前に、記念セレモニーが行われ、記録達成した
二塁打でイチローが踏んだ二塁ベース板が贈られた。その後、試合が
始るとイチローはベンチスタートだったが、代打に立つとさっそく
ヒットを放ち、3000本へあと20本にした。