天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

探梅―幕山

幕山公園にて

 幕山のふもとに湯河原梅林がある。天気予報とwebの開花情報を見比べながら、尋ねる時期を見計らっていた。探梅の客はみんなが同じことを考えるらしく、湯河原駅で乗る幕山公園行きのバスは満杯であった。「梅の宴」の期間中なので入場料は200円。 幕山に向って左側の麓から梅林に入り、右側の端へと歩いた。
 湯河原梅林には4000本もの梅があり、その種類には白加賀、十郎、紅梅、思いのまま、淡路枝垂、輪違い など多様である。ここには毎年のように来ているが、岸壁にロープを垂らしてロッククライミングの訓練をしているのが常であった。しかし今年は、その情景は見られなかった。


     幕山のふもとに満ちぬ梅の花
     古びたる枝ぶりよろし梅の花
     断崖の岩肌を恋ふ梅の花
     咲きみちてなほもの足りぬ梅の花
     梅林の楊貴妃はやも散り果てつ
     湯気立つるうどんをすする梅の宴
     幕山の梅を見上ぐる足湯かな
     足湯して顔までほてる梅の花
     鼻むずむず黄の粒ひらくミモザかな


  いつもならロープ垂らして岩のぼり今日はロープも
  人影も見ず


  梅林の形状みれば幕山のふもとのなだり波うちくだる
  幕山のふもとに梅の咲きみちて出店がならぶ川のせせらぎ
  湯河原の駅前に買ふお土産は浅蜊、蜆の佃煮セット
  湯河原の駅のホームに電車待つ座布団敷ける椅子に座りて
  湯河原を離るるほどに空晴れて天気予報のごとくになりぬ