天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

クロッカス(2/2)

横浜市俣野別邸庭園にて

 クロッカスの原産地は地中海沿岸から小アジアで、早春に咲き観賞用のみに栽培される。花はほとんど地上すれすれのところに咲き、黄色・白・薄紫・紅紫色・白に藤色の絞りなどがある。


  むらさきの花弁つぼめてクロッカスささやかにて
  春風にゆるる           北見志保子


  クロッカス夕べ花閉ぢ三月の庭にあざやか黄の蠟のごと
                    宮 柊二
  いまひらくとほのゆれやさしクロッカス黄の花群れの
  いまかひらくと           加藤克巳


  きみが歌うクロッカスの歌も新しき家具の一つに数えむとする
                    寺山修司
  ひと夜の雨晴るるわが庭クロッカスの地にこぞりたつ花
  あたたかし             板宮清治


  山も海も見えぬこの町を寂しみて林檎箱に子とクロッカスを植う
                    小野田勉
  「クロッカスが咲きました」という書きだしでふいに手紙を
  書きたくなりぬ           俵 万智