天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

電子メール

 電子メールとは、通信ネットワークを介してコンピュータなどの機器の間で文字を中心とするメッセージを送受信するシステムであるが、テキスト形式のメッセージを電気的に伝える方法は1800年代中頃のモールス信号による電報に遡る。つまり電子メールはインターネットに先行して開発されていた。現代では、パソコンや携帯電話などに必須の基本的機能になっている。

 以下に紹介する歌では、各自が電子メールを使い始めた時期の新鮮な印象が表れている。

  ogihara@` の後の領域さむざむときらめかせ朝の電子メールは

                       荻原裕幸

  五万個のメール爆弾 かはたれをかそけくかそけくゆきふりつもる

                      佐佐木幸綱

  電子メール送れば二人のおのこごは蛍のような存在かえす

                       玉井清弘

  セピア色になりし思いもメールなら愛しと打てるすらすら打てる

                       原田満恵

  海から風が吹いてこないかどこからかふいてこないかメールを待ってる

                       加藤治郎

  新聞を読まぬ息子にピパポポと父が真夜中ことばを送る

                       今野壽美

  酸性の雨降るなかを飛来するメール おまえに逢いにいきたい

                       里見佳保

  三日雪、丘は千年前となる 電子メールはしきりに来るが

                       三枝昂之

  喪のメールひらく長男のあまやかなアラビア糊のような夏闇

                       佐伯裕子

 

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