天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ハマこい踊り

炎天下の踊り

 この時期に横浜でカーニバルをやっているとは今まで全く気づかなかった。今年は二十八回目という。今日と明日、数箇所で開催されている。強烈な日照りなので、せめて落ち着いた雰囲気の場所をと、横浜美術館広場のステージに行くことにした。十一時から始まる。少し間があるため、美術館に入って日本画とシュールリアリズムの絵画を見てまわった。


  バテレンの神父らを背にワイン飲むサーベルさげし赤き兵士ら
  うす衣を腰にまとひて鳥を愛づ乳房さらせる二人の女
  水干の烏帽子の前に猿候が蹴鞠もちくる一曲屏風絵
  縁側に犬猫がゐて語り合ふ椿笑園の老いたる夫婦
  階段を乳房あらはに下りむとす娼婦描けるポール・デルヴォー
  みぎひだり対称的なる荒涼の真中に消ゆるダリの英雄
  一様に「赤い靴」の曲折りこみて炎暑に舞へるハマこい踊り
  をみならのセイヤの声によさこいの和太鼓の音腹にひびかふ
  美術館前の広場にはためけりハマこい踊りの「炎舞」ののぼり
  炎天下スピーカーの音ひび割れて跳び交ひ踊るヒップホップ
  キッズ


  潮風の木蔭にいこひ出番待つハマこい踊りの衣装さまざま
  展示室めぐればわが身ゆるがるれ窓にひびかふ踊りのビート


     炎天のビートに狂ふ踊りかな
     緑陰に踊り子いこふ美術館
     秋風のポプラ並木や美術館
     炎天下ハマこい踊りに立ち尽くす
     青空に万歳するや百日紅