天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

師走・江ノ島(1)

江ノ島ヨットハーバー

 江ノ島にくる観光客が期待するものに魚料理がある。特に生しらすの店に人だかりが多いようだ。天麩羅にしても美味い。こうした店は近くの腰越漁港にあがる魚貝類を提供しているのであろう。以前は行きつけの店があって、この時期ならサザエのつぼ焼きや鯵の刺身で熱燗を傾けたものだが、最近はとんとご無沙汰している。


      繋留のヨット眺めて石蕗の花
      宝籤買ふ人多し年の暮
      首長き鵜の鳥かづく冬の海
      弁財天仲見世通り去年今年
      洞の湯に冬の潮騒とどろけり
      うすあかき水平線と笹子鳴く


  鵜と鴎ともに止まれる突堤に師走潮風なまあたたかき      
  灯台の下に釣糸垂るる人あまた座れど一尾も釣れず
  週末は弁天橋に絵を売りて年ふりにけり中東の人
  橋桁に左右から寄る白波のうち合はさりて高くしぶけり
  鵜の鳥の潜きて浮びくるまでの時間はおよそ十五秒間
  釣り上げし雑魚突堤にちらばりて師走の風に吹かれてゐたり
  釣船の二隻留まれる港湾の水面に潜く一羽鵜の鳥
  腹一杯雑魚つめ込める鵜と見えて羽ばたき重く飛び立ちにけり
  大いなる鮃の魚拓貼り出せり薄日さしたる釣船の宿