天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

師走・江ノ島(2)

片瀬漁港

 片瀬漁港は、弁天橋を挟んで腰越漁港の反対側に位置する。完成したばかりで、繋留している漁船は少ない。平日の埠頭では、老年の釣り人を多く見かけるが、雑魚ばかりが釣れている。

      
      ひよ鳴くや八拾貫の力石        
      山茶花や拍手うてる奥津宮       
      龍恋の鐘にうつ向く水仙
      龍恋の鐘鳴り止まずクリスマス
      青竹の垣根に変はる年の暮
      鳩群れてふくらむ岸のしぐれかな


  をちこちに「鳶に注意」の立札のありて鳶舞ふ江ノ島の空        
  ひとつ根に幹分かれたる大銀杏「むすびの樹」とて絵馬
  あまた掛く


  五頭龍と天女の話読みて後ふたりで鳴らす龍恋の鐘           
  検校の墓断崖にしづもりてアウトリガーのカヌー見下ろす
  潜きては浮ぶ鵜の鳥突堤の先を回りて港湾に入る
  水面にならぶ礁に一羽づつ鵜の鳥とまる河口のしぐれ
  恰幅のよき人も買ふ宝籤年末ジャンボ三億円の