天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

江ノ島にて

 ワシタカ科の留鳥で、全国に生息。公園などで弁当を食べていると空から急降下してきて奪い去ることがある。「鳶に注意」の看板をよく見かける。


  大き鳶たわたわと来て過ぎるとき穂に
  あざやけき丹波栗の花      北原白秋
                      
  安房のくに布良の海べの宿にきて冬夕ぐれの鳶の声きく
                  田谷 鋭
  洲のうへの気流の壁をのぼりつめ鳶のはが羽交ひの荒くもあるか
                  岡井 隆
  筒鳥が鳴けり鳶(とんび)が輪をかけり鳶に声をかけてはたらく
                  石川不二子


 江ノ島は猫と鳶の島といってよいほど、地上には猫が空には鳶が目立つ。鳶は、生きた動物を獲ることは稀で、もっぱら死んだ鼠や魚を餌にするという。


  断崖の上の林に棲む鳶が時折出づる釣人の空
  釣人の立てる礁(いくり)の空にきて釣果いかにと輪を
  描く鳶は